日本の国債市場の混乱は、もっと激しくなる バーナンキ議長が、QE3の縮小を示唆したら要注意

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「How to make money with Junk Bond」(ジャンクボンドでの儲け方)。数日前まで米国に出張していたのだが、ニューヨークでたまたま隣に居合わせた人が読んでいた本のタイトルがそれだった。今、米国では市場のあちこちでバブル的な過熱が現れている。

ジャンクボンド(ハイ・イールド社債)市場や、MBS(住宅ローン担保証券)を購入してレバレッジを効かせる「エージェンシーREIT」市場には空前の資金流入が起きている。5月7日のウォールストリート・ジャーナル紙は、ハイ・イールド社債の利回りが最近異様な低下を見せていることを取り上げ、「ジャンクはハイ・イールド(高利回り)と言ったのは誰だっけ?」と市場の過熱に警戒を促す記事を掲載していた。

金融機関や投資家にリスクをとれと促す中央銀行

FRB(米国連邦準備制度理事会)の緩和策によって安全資産の利回りが低下したため、少しでも利回りが高い金融商品には投資家がわっと群がる構図になっている。政策は多くの人々に過剰なリスクを取らせているので、ひとたび市場の流れが逆転したら、傷つく投資家が多数現れる恐れがある。

FRBを含む世界の中央銀行は、奇妙な矛盾を発生させている。先進国の金融規制当局は、金融機関にリスクを減らせ、と規制を強化している(米国のドット・フランク法、新バーゼル規制など)。しかし、FRBも日銀も、銀行や投資家に対してもっとリスクをとって資産価格を押し上げろ、と促している。全体をコーディネイトしている人が誰もいないという怖さがある。

米国では大都市部の優良物件を中心に住宅価格が急騰している。3月末のサンフランシスコの住宅価格は前年比33%上昇していた。シリコンバレーの高額所得のITエンジニアが好むような物件が売りに出ると、奪い合いのような状態になっている。信用スコアが高い人に対しては金融機関は積極的に融資を伸ばそうとしていることも高額物件への需要を押し上げている。

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