さる外交官が言っていた。「われわれの仕事はアベノミクス様々であります」と。
そりゃそうか。ほんの半年前まで、日本は冴えない国であった。経済にはかつての勢いがなく、政治も迷走していて、ほとんど存在感を失っていた。さしずめ外交の最前線では、「アンタ、まだ居たの」という感じだったのではないかと思う。
大使も大人気!外交の舞台まで一変させたアベノミクス
それが今ではえらい変わりようだ。日出ずる国というほどではないが、とりあえず景気は回復局面であるし、株価も上がっている。IMFは4月24日に世界経済見通しの最新版を発表したが、他国が軒並み下方修正となる中で、日本は2013年が1.6%成長(+0.4%)、2014年は1.4%成長(+0.7%)と上方修正されている。
政治も安定している。今どき、首相の支持率が70%前後なんて国は、少なくとも先進国では稀有である。米国は内向き、欧州は迷走、中国やロシアも視界不良という昨今の情勢では、嫌でも日本は目立つ存在である。
こうなると、大使館でパーティーをやっても来客数が違ってくるらしい。あるいは世界各地で、日本国大使が「アベノミクスって何だ?」と質問攻めにあったりする。アベノミクスには、日本外交のプレゼンスを向上させる効果があったということになる。
麻生太郎財務相はワシントンで行われたG20会合の後、安倍晋三首相に倣って外交シンクタンクのCSIS(米戦略国際問題研究所)でスピーチを行っている。”What is Abenomics?”というテーマで壇上に立ち、冒頭から「私も帰ってきました」(I will say this. I AM BACK, too.)とかまして笑いを取っている。麻生節はとどまるところを知らず、こんなことも言っている。
Make no mistake. We are pushing Abenomics not only for the sake of economic growth. We are doing that precisely to make Japan your reliable ally and a responsible guardian of peace, prosperity and democracy.
(誤解しないでください。私たちは、経済成長のためだけにアベノミクスを進めているのではありません。日本がみなさんの信頼に足る同盟国となり、平和と繁栄と民主主義の守護者となるためにこそ、アベノミクスを進めているのです)
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