この1週間は、アメリカ政治ウォッチャーにとって怒涛の日々だった。2月3日(月)はアイオワ州党員集会、4日(火)は一般教書演説、そして5日(水)は大統領弾劾裁判の評決が行われた。いろんな偶然が重なって、てんこ盛りの日程ができあがったのだが、結果として、ドナルド・トランプ大統領にとっては笑いが止まらない1週間となった。なぜ、こんなことになったのか、順に振り返ってみよう。
民主党のアイオワ州党員集会が大混乱になったワケ
まずは3日にアイオワ州党員集会が行われ、いよいよ2020年アメリカ大統領選挙が幕を開けた。普段は地味な農業州で、トウモロコシ畑以外のことが話題になることは滅多にないのだが、4年に1度、この時期に全米の注目を集めることになる。それまで世論調査で「格付け」されていた大統領候補者たちが、この日を境に「アイオワ州で×位だった○○候補」と呼ばれるようになるのである。
ところがこのアイオワ州党員集会において、前代未聞の事態が発生した。選挙結果の集計用に用意したスマホアプリの不具合により、その日のうちに結果が判明しなかったのである。
そんなこと言ったって、党員集会に参加するような熱心な民主党員は州の人口約300万人のごく一部、前回2016年選挙でも17万人くらいである。集計所の数も1700か所くらいなんだから、そのくらい手計算でやって、電話とFAXで集計したらどうなんだ、と言いたくなるところである。何も難しい計算じゃなくて、単なる足し算なのだから。
それなのに、現地は大混乱に陥った。誰も勝利を確認できず、各候補者は疑心暗鬼で夜を過ごすこととなる。翌日になって、開票率62%の中間発表が出て、「ピート・ブティジェッジ候補がリード」との報が入った。38歳、同性愛者だとカミングアウトしているサウスベンド市の元市長が、一躍、脚光を浴びた。
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