自民党財務金融部会のプロジェクトチームによれば、国債価格が急落した場合は以下のような4つの事態が想定されている。
1. 一部金融機関の経営不安や金融システムへの不安
2. 企業の資金調達の停滞や過大負債企業の経営困難
3. 市中金利の上昇に伴う個人への影響(住宅ローンなど)
4. 政府財政の一段の悪化。1%の金利上昇は、1年で1兆円、2年で2.5兆円、3年で4.2兆円の利払い費増加を招く。
日銀は先にカードを先に切ってしまった?
すなわち、「金融」「企業」「家計」「政府」のすべてにわたって深刻な影響が出る。その場合の対応策として、同報告書は対策本部の設置、財政再建、国債管理政策、金融政策、金融行政などに言及している。「事の性質上、詳細について文章にしていないところもある」との但し書きがついているが、相当な修羅場になることは想像に難くない。
特に金融政策については、以下のような記述がある。
「日銀は……前例に囚われず思い切った潤沢な資金供給を金融市場に対し機動的に行う」「国債の買い切りオペ額の大幅な増額を図らなければならない」
「あわせて、リーマンショック時に米国FRBが講じた一連の非伝統的な措置や量的緩和策を参考に、リスク資産等の購入も思い切って行わなければならない」
これらはすべて、黒田日銀が実施中の政策ではないか。本来であれば、「異次元の金融緩和」とは、Xデーの後にこそ必要な政策であったのではないか。しかるにそのカードはもう切ってしまった。あるいはデフレ脱却を目指す過程で、Xデーの到来をかえって早めてしまう恐れもある。ところがその場合には、既に日銀には打つ手がなくなっているかもしれないのだ。
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