株価上昇の裏で進む「日本売り」のシナリオ 国債価格の乱高下で明らかになった、危険な兆候

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株価は好調。だが、その裏では…(撮影:尾形 文繁)

株価が上昇することと、債券価格が下落することは、どういう関係にあるのか。それが問題だ。

5月10日、日本国債の価格は大きく下落した。これは、米国の景気回復から、ドル金利上昇の可能性が高まり、円安が進み、同時に日本国債は下落、日本株は急騰した。円が1ドル=100円を突破すると勢いに弾みがつき、円は101円も突破し、日経平均株価は416円も上昇した。

債券の下落よりは、株価上昇に注目が集まりやすい

この流れは、翌週も止まらず、13日の月曜日には、日経平均は174円上昇し、ドル円は102円台をつけた。一方、日本国債は、大きく下落を続け、10年物で0.7%台となった。

14日には、日本国債はさらに下落した。午後、売り一色の展開となり、国債先物は3営業日連続で1円安まで下げ幅を広げ、新発10年物の国債利回りは一時0.855%と昨年8月以来、9カ月ぶりの高水準を付けた。10年債利回りは9日からの3営業日で0.265%ポイント上昇した。

さらに、15日は、円安が再度進んだことから、株価も勢いがつき、日経平均は1万5000円台を回復した。一方、債券は大幅下落を続け、4営業日連続の大幅下落となり、10年物の利回りは0.9%台に乗せた。

このような日本の金融市場は、どうとらえたら良いのか。良いのか、悪いのか。株は急騰だが、債券は急落。どっちの現象が、日本の金融市場全体の現状を的確に表しているのか。

次ページ同じ価格下落でも「よい下落」と「悪い下落」がある
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