日本の国債市場の混乱は、もっと激しくなる バーナンキ議長が、QE3の縮小を示唆したら要注意
日本国債の場合、政府債務が膨大で低格付けの割に国債の利回りが低いため、海外からの参加者は少ない。他方、米国債市場には世界中から多様な投資家が参加している。金融危機のような時を除けば、仮にあるグループの投資家がリスクを取れない状態に陥って米国債の購入を控えても、それによって歪んだ価格形成を利益のチャンスととらえて誰かが市場に参戦してくることが多い。だが日本では市場参加者の大半は銀行を含む国内の機関投資家であり、多様性に欠ける。
売りが売りを呼ぶスパイラルに
基本的にプレーヤーの多くは日本の金融規制当局の監視の下、同じリスク管理手法を採用しており、その結果、売買の判断も同じ方向に傾きやすい。4月4日以降、日銀は財務省が市場で発行する国債の4分の3を購入しており、市場の流動性は大幅に低下した。市場の売買注文が薄い状態にあるだけに、その中で、円安、株高、FRBのQE3の縮小観測などの材料が台頭して金利先高感が強まると、金利上昇ペースは速くなる。
シャープレシオなどのリスク計測手法を導入しているので、ボラティリティが増大すると、国債保有のリスクを減らさざるを得ない金融機関が現れる。そうした金融機関が国債をまとまった額で売却すると、それを受け止めて買い支えるプレーヤーが少ないために、金利上昇は加速する。それが更にリスク管理の観点からの売りを誘発する、といった危険なスパイラルにつながる恐れが潜在している。
日銀は5月15日に1年物共通担保資金供給を2兆円実施した。このオペレーションで金融機関が0.1%で資金を1年間借り入れば、保有国債のリスクをある程度低下させることができる。4月にも日銀はこの手段を多用して国債市場を落ち着かせた。今回も日銀は市場の様子を見ながらこのオペを使うだろう。
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