グローバルな視点を欠く異次元緩和

水野温氏・元日本銀行審議委員に聞く(上)

4月4日、黒田東彦日本銀行総裁が、就任後初の金融政策決定会合で、「今後2年で2%の消費者物価上昇率を達成する」として「量的・質的緩和」と呼ぶ金融 政策を決めた。「異次元の金融緩和」とも称している。しかし、新政策の導入後、債券市場は動揺し、金利の急騰などが見られる。2004年~09年まで、福井俊彦、白川方明の2人の総裁の時代に日本銀行政策委員会審議委員を務めた水野温氏(あつし)・クレディ・スイス証券取締役副会長の評価を聞いた。 
みずの・あつし●エコノミスト、専門は債券市場。1984 年早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。ブラウン大学経済学修士号、ニューヨーク市立大学経済学博士号取得。野村證券、ドイチェ・モルガン・グレンフェル証券(現ドイツ証券)、クレディスイスファーストボストン証券(現クレディ・スイス証券)を経て2004 年12月~09年12月まで 日本銀行政策委員会審議委員。10年1月~ クレディ・スイス証券取締役副会長。

 

――黒田新総裁が4月4日に決定した「量的・質的金融緩和」に対する評価は。

黒田総裁は安倍政権の意向を強く受けて任命された総裁であり、それは「デフレ脱却」を目的に掲げていることに表れている。まず、新体制下の日本銀行の金融政策運営が安倍政権のマクロ経済政策(いわゆるアベノミクス)の一翼を担っているという観点での評価をしたい。

金融政策は時間を買う政策に過ぎない

アベノミクスは第1の矢を「大胆な金融政策」、第2の矢を「機動的な財政政策」としている。これらはいずれも時間を買う政策に過ぎない。第3の矢の構造改革・規制改革・成長戦略が重要であるが、痛みを伴う改革は政治的コンセンサスを得るのが難しい。そこで、第1の矢として時間を買うことに日銀が協力した、という位置づけだ。

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