代償はすでに顕在化している
ドルに対して円の価値が25%下落したことは、「アベノミクス」が日本の活力を取り戻せることを確信させる最も有効な要素の一つである。しかし、円安にはメリットばかりではなく代償があることも忘れてはいけない。メリットが代償を上回る場合のみ、円安は経済成長に寄与するだろう。
その代償はすでに顕在化しており、エネルギー、原材料、食料、製造部品の輸入価格が上昇している。競合企業に対する日本企業の費用優位性が生まれたことで輸出拡大が期待できるというメリットはあるが、この傾向はまだ見られない。どの程度のメリットがあるかも不透明だ。
もう一度、代償について確認しよう。円安の状況では、原油、自動車部品などのドルの価格が変わらない場合、日本が原油や自動車部品を同量手に入れるのに、より多くの円を払わなければならなくなる。昨年9月から今年3月にかけて日本の全貿易相手国に対する円の名目価値は18%下落した。同時期、単位当たりの円輸入価格は18%上昇した。
結果、昨年9月以降、価格調整後の実質輸入量は5%減少したが名目輸入金額は12%上昇した。つまり、日本は5%少ない輸入量を確保するのに、12%多く支払ったことになる。
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