2つの政治事件に見る中国の変わらぬ伝統

次期指導者を決める全人代の前に起きること

 


近頃中国で起こった二つの出来事が関心を集めている。

一つ目は、共産党の幹部の一人、薄熙来の失脚だ。薄は、胡錦濤国家主席をはじめとする党首脳に対する盗聴を含む罪の責任を問われ、彼の夫人は、英国人実業家の殺人事件に関与したとの疑いで取り調べを受けている。もう一つは、盲目の人権活動家・陳光誠が、不当な自宅軟禁から逃れて北京の米国大使館に保護を求め、家族が出身地の政府当局から脅しを受けた、と主張したうえで大使館を離れた事件である。

これらの出来事については多くの報道がなされているが、真実が何かはまったくわからない。薄が失脚した理由はいまだに不透明だ。

中国では過去、次期指導者が指名される全人代の開催が近づくにつれて、決まって一騒動起きている。

通常、民主主義国家では、指導者は比較的透明性の高いプロセスを経て交代する。だが、中国では、何もかもが見えないところで進行する。中国では選挙によって指導者たちを追い出すことができないため、政治的な対立を解消するには、ほかの方法を見いださねばならない。それが時には、周到に練られた公開のショーを伴うこともある。

かつて重慶の共産党指導者だった薄の失脚はその典型例だ。彼は共産党のエリート層出身でハンサム、かつ大衆の間でカリスマ的な人気があった。手ごわい指導者として知られ、組織犯罪やその他の邪魔者に挑む際には、法の制約に縛られない手段を用いることもよくあった。

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