2つの政治事件に見る中国の変わらぬ伝統

次期指導者を決める全人代の前に起きること

 

 薄は毛沢東主義への郷愁を誘う言説を弄しているが、自身は極めて裕福だ。英オックスフォード大学と米ハーバード大学に留学した息子のぜいたくな暮らしぶりが、マスコミを大いににぎわせている。

言い換えれば、薄はギャングのボスの特徴をすべて備えている。不正に手を染め、敵対する者に対しては情け容赦なく、法を侮り、それでいて自分自身は道徳心が高い人物であるかのように見せかけている。

ただし、中国では共産党の指導者たちの多くが、これと似たり寄ったりだ。彼らは皆、公式な給料だけでは説明のつかないカネを持ち、その多くが子弟を英米の大学に留学させている。一般の国民は法律に束縛されているが、指導者たちは、そんな法律を超越した存在であるかのように振る舞っている。

夫婦もろとも政敵の餌食に

薄が際立っていたのは、野心を隠さなかった点だ。共産党の指導者たちは、権力への渇望をあらわにしないのがお決まりだ。ところが薄は、米国の政治家のように振る舞い、公然と権力を振りかざした。それは共産党のほかのボスたちの神経を逆なでするに十分だった。

共産党内部の派閥抗争を内々に処理できなくなると、党幹部の中には、薄を切らざるをえないと考える者も出てきた。党のボスが面倒なライバルを失脚させようとする際には、中国においても日本と同様に、政治スキャンダルを利用して相手を引きずり降ろすという方法を取る。権威に従順なマスコミに政治スキャンダルをリークすれば、マスコミがこれをあおり立ててくれる。

中国の政治スキャンダルにおいては、性格の悪い夫人が登場するのが定石だ。

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