QE3はいつまで続くのか 米国で再び膨らみ始めた信用バブル(Fedウォッチャー)

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FOMC(米国連邦公開市場委員会)が金融政策の透明性向上に努める中、曖昧さが残る証券購入(QE3)の行方に大きな関心が集まっている。

FOMCは金利政策の「出口」について定量的なガイダンスを提示しているが、QE3による「追加緩和の進め方」については、2つの評価軸から定性的に判断していく方針を示すに留まっている。

第1の評価軸は、労働市場の回復度合いだ。失業率、非農業部門雇用者数、労働時間、労働参加率など雇用関連指標が注目されるのはもちろんだが、バーナンキ議長は、これらの先行指標となり得る需要や生産の動向にも幅広く目配りすると述べている。一方、第2の評価軸は、FRB(米国連邦準備制度理事会)がバランスシートを膨らませることによる、意図せざる副作用やリスクの度合いだ。

はじめに第1の評価軸に関連して、米国経済の動向をみてみよう。昨年10~12月期の米国経済は、1月19日付けのFedウォッチャーで触れた「ゼロ成長」が現実となった。しかし、在庫投資と政府支出に同7~9月期の反動が表れた面が強い。個人消費、住宅投資、設備投資という民間需要は合わせて前期比年率3.1%の伸びを示した。また今月発表された雇用統計では、2012年後半の非農業部門雇用者数の増加テンポが上方修正されている。

つまり、「財政の崖」を巡る不透明感が民間経済活動を萎縮させる、という当時の懸念は空振りに終わった格好だ。

楽観論の陰で進行する米経済指標の「下ぶれ」

しかし、米国経済が予想外の好調さを見せたのは昨年の出来事であった点に注意が必要である。問題は、2013年に入ってからも好調さが続いているのかどうかだ。バックミラーの中で遠く過ぎていく景色を追っていては、金融政策の見方を誤ってしまう。

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