日銀新総裁を待ち受ける難題 超金融緩和策には大きな副作用(日銀ウォッチャー)
先週から週末にかけてのG7(7カ国財務大臣・中央銀行総裁会議)、G20(20カ国財務大臣・中央銀行総裁会議)では、日本の円安誘導が「名指し」で批判される事態は回避することができた。しかし、それら国際会議で通貨安競争が話題になったことの契機は「アベノミクス」にある。
これまで日本の当局は、次期日本銀行総裁の下で発動されるであろう「大胆な金融緩和策」に対する期待感で市場を引っ張ってきた。日本政府、日銀がこれまでのところは、円安誘導のために「実弾」(円売り介入や外債購入オペ)は打ってこなかったために、許容されたと言える。もし「実弾」を打っていたら、G7、G20で日本は遥かに厳しい批判を浴びただろう。
注目される次期日銀総裁人事に関しては、岩田一政氏(元日銀副総裁、現在日本経済研究センター理事長)、黒田東彦氏(元財務官、現アジア開発銀行総裁)、武藤敏郎氏(元財務事務次官、元日銀副総裁)の3人が候補の第一グループと思われる。第二グループとしては、伊藤隆敏氏(東京大学公共政策大学院院長)、渡辺博史氏(元財務官、現国際協力銀行副総裁)、竹中平蔵氏(元総務大臣、現在、慶應義塾大学グローバルセキュリティ研究所所長)らの名が聞こえる。
外為市場参加者は「次期日銀総裁が、岩田一政氏なら円売り、武藤敏郎氏なら円買い」といった話をよくする。しかし、意外に、誰が総裁をやっても、政策にそう決定的な違いは現れないかもしれない。
長い国債を買えば買うほど出口政策は困難になる
新総裁は、安倍首相の期待に応えようと、デフレ脱却に向けてアグレッシブさを強調するだろう。おそらく、白川氏と比べて、より残存期間が長い国債を多く買うと見られる。しかし、外債オペや官民共同外債ファンドによる円安誘導については、国際社会の反発を招くため、実施は困難と思われる。一方で、ETF(指数連動型上場投資信託受益権)などのリスク資産の購入を増やす可能性はある。しかし、将来の損失のリスク(つまり納税者負担発生のリスク)を考慮すると、その増額幅は限られる。
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