「ローカル」と「グローバル」の仕事の違い
グローバルの仕事、海外の仕事という言葉は、まだ日本では定義があいまいです。とりあえず外国に行って仕事をしていればグローバルだということになってしまっていて、いろいろなタイプやレベルのものがごっちゃにされています。
たとえば、今、多くの日本人が働いているシンガポールでの例を挙げましょう。一言で「シンガポールで働く」と言っても、2つのタイプの仕事があります。
ひとつは、シンガポールに住み、シンガポールの会社で働いているけれども、内容は、ローカルの仕事をしている場合。シンガポールに進出している日本企業相手の営業職はそのひとつです。ほかにも、シンガポールにある旅行代理店などでの仕事も、シンガポールや周辺諸国に旅行する日本人向けにツアーを手配するなど、基本的には日本人向けサービスです。
さらにいうと、シンガポールにある日本のラーメンチェーン店のように、お客さんがシンガポール人という商売もあります。それらは、たとえシンガポールで英語を使って仕事をしているとしても、あくまで仕事の範囲はローカルです(日本企業相手、シンガポール人相手という意味で)。
一方で、複数の地域をまたいだり、統括したり、世界中で共通している業務を一括して請け負うなど、特定の国や地域に依存していない仕事のことを「グローバルジョブ」と言います。近年、注目を浴びているシンガポールや香港などは、これらのグローバルジョブの拠点として急速に発展しています。
たとえば、P&Gは、それまで神戸の日本支社内にあったアジア全域(中国除く)を統括するアジア本社機能を、2009年にシンガポールに移しました。また、米国シンシナティに置いていた、スキンケア・化粧品・パーソナルケア製品の本社機能を、シンガポールに移転させました。
これらの仕事は、シンガポール向けの仕事ではありません。P&Gのシンガポール法人では、アメリカからヨーロッパ、アジアから中東、アフリカにいたるまで、すべての地域のスキンケア・化粧品・パーソナルケア製品に関しての最終意思決定と経営戦略や管理を担っています。
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