“景気のいい”ところで働く、3つのメリット 成功体験がさらなる成長につながる

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 キャリアには多様な選択肢とステップアップの道筋があるということを、この連載では紹介してきました。アジアであれ、日本国内であれ、「景気のいいところで働く」ことは、自らの価値を高め、成長を促すことができるキャリアデザインの方法のひとつと言えます。
 今回は、「景気のいいところで働く」ことの一例として、筆者(森山)の体験を交えてアジア就職を取り上げ、その3つのメリットをクローズアップします。それは、「給料がいい」「自分の実力以上の役割を与えてもらえる」「成功体験がさらなる成長につながる」の3つです。
 当然ながら、そこは大きなプレッシャーがかかる厳しい世界ではありますが、自分の可能性をとことんまで追求することで、自らのキャリアの将来の希望が見いだせるということもあるかもしれません。

「早回し」でスキルが身に付く

「アジア海外就職の魅力はなんですか?」と多くの人に聞かれるのですが、私の答えは「景気のいいところで働くことができる」です。

私は、ITバブルが始まる直前の1990年代の終わりから日本のIT企業で働き、中国バブル華やかなりし2000年代の半ばには日本の自動車会社で働いていました。この2社での経験が、自分のキャリアデザインに大きく役に立ったと感じています。

景気のいい業界、会社で働くことのメリットは3つあります。

ひとつ目は、身もふたもない話ですが、給料がいいことです。

当時の自動車会社では、ボーナスが年間6カ月分支給されていましたし、IT企業でも結果さえ残せば大きなボーナスがもらえました(チームの結果が悪いと悲惨でしたが)。

2つ目が、こちらのほうがキャリア形成には重要なのですが、自分の実力以上の役割を担わせてもらえることです。その結果として、早回しでビジネスに必要なスキルを身に付けることができるということです。

景気のいい企業は、事業を次々と拡大しているので、人材の数が事業に追いついていません。したがって、重要なポストに否が応にも若手を抜擢することが多くなります。

私は、IT企業で入社2年目から顧客への提案のメイン担当をやらせてもらったり、自動車会社では、英語が下手なのにもかかわらず、グローバルプロジェクトの重要な仕事を与えてもらいました。

自分の実力以上の役割にアサインされると、そのプロジェクトの最中は非常に苦しい思いをすることになります。顧客や同僚の期待どおりのパフォーマンスを上げることができず、失敗すること、失望されることもしばしばです。しかし、その期待に少しでも応えられるように背伸びをして、新しいことを覚え、同僚と協力をして何とか業務を乗り越えることで、できることは増えていきます。

同時に、職務経歴書に、その当時の体験を記載することによって、自分自身のキャリアの履歴は厚みを増していきます。

たとえば、「英語を使って仕事ができる」ということをアピールする際に、「TOEIC800点です」と言うよりも、「世界8カ国のスタッフが合同で行うプロジェクトでプロジェクトマネジメントを2年間行いました」と言うほうがはるかに説得力があります。実際はそのメンバーが英語ネイティブではない人ばかりで、流暢な英語を話す必要がなかったとしてもです。

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