私の知り合いで、日本のIT業界に新卒で勤め、営業をやっていた方がいます。しかし、競合との価格競争が厳しく、なかなか成果を上げることができず、最初の1年間はまったく売り上げを上げることができませんでした。
そこで、上司からの推薦もあり、1年間ベトナムに駐在となり、現地の日本企業にIT製品をセールスするという職務を担うことになりました。言葉や生活レベルの違い、現地の商慣習など、慣れるのに労力を要することもたくさんあったのですが、仕事をすればするだけ売り上げも上がっていきました。
というのも、現地では彼が販売している製品を提供している日系の企業はほとんどなく、現地の日本企業は「買いたいけれど買えない」状況が続いていたからです。
このような環境下で1年間営業をする中で、顧客へのアプローチ方法や駆け引きを実地で学び、何よりも「自分は売れる営業だ」という自信をつけたことによって、日本に帰ってからも、駐在前とは比較にならないレベルで営業活動を行い、売り上げを上げることができるようになったそうです。
「成功した」という自信は何よりも人を成長させてくれます。特に若い人にとっての成功体験は非常に重要です。成功体験を積める場所で働くということは、非常に重要なのです。
景気がいいところはアジアだけではない
ここでは、アジアで働くということを、景気のいいところで働くことの一例として挙げました。しかし、景気がいいところとは、別にアジアに限られるわけではありません。
たとえば、現在であれば、日本の一部のソーシャルゲーム業界は非常に活況です。そして、その中では、ひとつのゲームのプロジェクトを20代の若手3人から5人くらいを中心に回していると聞きます。非常な激務かもしれませんが、若い人がスキルを身に付け、成功体験を積む場所としては魅力的かもしれません。
おそらく、ひとつの企業、地域、業界が、何十年にもわたって活況であるということはありえません。日本国内を振り返ってみても、証券会社が活況だったときもあれば、次々と破綻したこともあります。数年前は増産を続けていたテレビ用の液晶パネルの工場が、あっという間に閉鎖に追い込まれるということも起こっています。
その栄枯盛衰の中で、会社と心中するつもりで滅私奉公していくという生き方も、ひとつの選択肢かもしれません。
しかし、労働者には職業選択の自由があるので、今、もしくは近い将来、活況になる業界や会社を渡り歩いていくという生き方もあるのです。
そして、日本人が取りうる選択肢は、日本国内だけにあるとは限りません。2013年の今、アジア各地には日本人を求めている企業はたくさんあります。高いスキルを持った人材であれば、アメリカや欧州にもチャンスはあります。将来的に、中南米やアフリカも有望な市場になるかもしれません。
自分の会社が属している業界が縮小傾向にあり、自社の業績が悪化し、自分自身の成績も落ちている人には、「ほかの会社、ほかの業界、ほかの国で働いたらどうだろう?」という視点を持ってもらいたいと思います。
自分が取りうる選択肢を徹底的に検討し、自分の可能性を探ってみることによって希望を見出すことができると思います。どんなときでも、世界のどこかに景気のいいところはあるはずですから。
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