米国クラウドファンディング“元祖”の発想力

米国流スタートアップと似て異なる、熱い思想

10億円以上集めたケースも

キックスターターの仕組みはシンプルだ。アーティストやデザイナーが実現したいプロジェクトをサイトにアップする。その際に、ビデオやスケッチでどんなことをやりたいのかを説明し、いくら集めたいのかという目標額を提示する。

一般の人々はそれを見て、「ぜひサポートしたい」と思ったらおカネを出す。出すおカネは、数ドルのこともあれば数千ドルのこともあるが、額によって特典が異なるのが通例だ。

たとえば、数ドルならば、プロジェクト終了時にTシャツがもらえたりする。もう少しおカネを出していたら、製品やCDがもらえたり、映画発表のプレミアに招待されたりするといった具合だ。

ただ、どんな額であっても、サポートした人々はアーティストやデザイナーのインナーサークルに入り、プロジェクトの一進一退を一緒に体験することになる。アーティストたちがプロジェクトの進行をサイトで伝え、それに対してサポーターたちがコメントを送ったりすることもできるからである。

もし、目標額が集まらなければプロジェクトはキャンセルされ、サポートしようと思っていた人々にはおカネはかからない。これまでのところ、キックスターターでは掲載されたプロジェクトのうち47%が目標額の資金を得たという。

キックスターターに登場したプロジェクトの中には、驚くような巨額の資金を集め、大成功を収めた例がいくつもある。

たとえば、Eインク製のディスプレーを使った腕時計『ペブル』は、スマートフォンと交信してメールを受信したり、電話のかけ主がわかったりするほか、サイクリングやランニングの際の速度や走行距離を記録したりもできる。このペブルが2012年春にキックスターターで資金を集めた際には、目標額の100倍以上である1027万ドル近く、つまり日本円にして約10億円が集まった。

シェイクスピアの『ハムレット』を登場人物ごとに読めるイラスト・ジョーク本に仕立てた『生きるべきか死ぬべきか。それが冒険だ』という出版プロジェクトは、昨年、1万5300人以上のサポーターを集め、目標額の15倍以上の58万ドルを資金として得た。

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