「とーちゃんが1人でみやぎに行くのはかわいそうだから、ぼくはついて行く」
2012年6月、ヤフーの復興支援事業の拠点となる「ヤフー石巻復興ベース」の設置と、ヤフー社員がそこに常駐することが決まったときのこと。単身赴任するか家族で移住するか、それとも調整役として東京に残るか、父親である僕がまだ決めかねていた頃、春に入学したばかりの小学1年生の息子が生意気にもこのように宣言した。
僕の家族は、奥さんと小学1年生、幼稚園の子ども2人。「石巻に勤務するかもしれない」という話が出たときから、これからどうするか家族で相談していた。
一度は、いっちょまえに「ひっこすかどうかなやんでいる」と言っていた息子。その子が「とーちゃんについていく」と奥さんに告げたと聞いて、自分の息子に背中を押される日がこんなにも早く来るなんて……と思った。
そしてうちの奥さん。もともと彼女は日本中をバイクで点々とする旅人だったので、フットワークが軽い。子どもが生まれる前は、僕と屋久島までツーリングに行ったり、毎年、全国の旅人が集結する青森ねぶた祭に顔を出したりしていた。
子どもがある程度大きくなった後も、車にテントを積み、家族4人で1週間くらい東北を野宿して回ったこともあった。だから僕たちは東北に親しみがあったし、地方に対する抵抗感もなかった。
社長の宮坂も言っていた。「迷ったらワイルドなほうを選べ」、と。
「よし、みんなで行くぞーー!」
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