「飯って、毎日食っているよな? 食いもので何かできない?」
「たとえば、弁当とか。社員みんなで食べたらいい」
「うん、お前ら、弁当がいいよ! 弁当!」
と盛り上がるのは、ヤフー社長の宮坂学と、副社長の川邊健太郎。前回紹介した石巻での「現地座談会」の準備のため、彼らと打ち合わせをしていたときのことだ。話し合っているうちに、彼らにスイッチが入ったようだ。
「ヤフーの社員みんなで何か復興支援できることはないか? それを考えようぜ!」
“石巻で、ヤフーが何をやるのか、できるのか”ということを決めるのがその日のテーマだったが、話は急展開していった。
宮坂は突然、こう言った。
「『これから復興支援に、本腰を入れてやっていこう』と発表するのに、ヤフーの社員で復興支援にかかわっているのは、実は須永(浩一・現復興支援室長)と長谷川の2人だけというのはダメ。そういうのは嫌だ。」
よく、いろいろな企業が○○の日だとか、○○リボンだとかの活動に協賛している。その告知日に注目してもらえれば、さまざまな波及効果を生むだろうが、本来はその日、そのときだけ考えてやればいいというものではない。それは、復興支援も同じだ。
ごく限定的にしか復興支援を行っていないのに、「会社として支援しています」と言うのはウソになる。そんなことは認められないし、嫌だというのが宮坂の持論だった。こういうときは社長だからとか関係なく、純粋に「宮坂さんいいこと言うなあ。確かにそうだよなあ」と思う。
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