2012年4月1日、創業以来16年にわたり社長を務めた井上雅博氏(55歳)に代わり、宮坂学氏(44歳)が新社長に就任。欠如したスピード感を「爆速」へ。安定志向との決別を目指し「10倍挑戦、5倍失敗、2倍成功」も掲げた。目標は201X年に利益2倍と高い。
一方、東北は宮城県石巻市。震災のつめ跡残るこの地に7月末、ヤフーは新たな事業所として「ヤフー石巻復興ベース」を設置。東京のIT企業からやってきた彼らはいったい、被災地の現場で何をしようというのか。
静かに始まった新生ヤフーによるもうひとつの挑戦。この連載では、ヤフー石巻復興ベースの現場リーダーである長谷川琢也氏(35歳)が、復興支援の新たな仕組み作りに奮闘する日々を、石巻から発信していく。
「4月から異動が決まったよ。今までのように片手間ではなく、東北のことだけをやる新しい部署、復興支援室へ。須永(浩一)さんと2人だけだけどね」
「まじっすか!!!」
12年3月15日、当時の上司だった坂本本部長(現コンシューマ事業カンパニー長)から衝撃的な内示を受けた。その2週間前、3月1日に世の中以上に社員を驚かせた社長交代の発表と同等、いやそれ以上の衝撃だった。
組織が大きく変わるだろうことは、社内の誰しもが予想していた。自分も今までとは違う仕事になるかもしれない、この一年取り組んできた復興支援の仕事も会社として縮小するという話が出るかもしれない。そんなふうに思っていたところに、まさかの「復興支援だけやれ」ときたもんだ。
「まじっすか!!!」
「うん」
「なるほど。。。まじっすか!!??」
いつも以上に口癖が出た。体が熱くなった。当時は複雑な感情が交錯していたのも事実。でも心のいちばん奥底には、小さくガッツポーズをとっている自分がいた。
「はせたく、どうよ? 東北は」
4月に新社長に就任した宮坂ら新経営陣が掲げるヤフーの新たなテーマは、“世の中の「課題解決エンジン」になる”である。
その解決すべき重要課題の1つとして位置づけられているのが、「東北の復興支援」だ。新体制が発足した4月、副社長直轄の専門部署、COO室に「復興支援室」が設置されたのも、経営陣の強い意志の表れといえる。
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