「そんなの、ネット企業の人が2人だけでできるわけないじゃん。絞れよ」
今では新生ヤフーの標語の1つとなっている、「Focusせよ」の登場だった。
そしてそのとき、暫定的に僕らの上司となり、本質的なアドバイスをたくさんくれたのが、『イシューからはじめよ』の著者であり、現在ヤフーの事業戦略統括本部長である安宅和人だ。
復興支援における「イシュー」は何なのか、それを見極めるために現地での濃厚なヒアリングを早急に始めるべきということ、そしてそれを整理する手法などをたたき込んでくれた。
その後の「濃厚ヒアリング」が、僕らに多大な影響を与えることになる。
そこで出会ったすばらしい人たち、僕らの心を動かした数々の名言はのちのち語るとして、ヒアリングの結果、そしてさまざまなご縁も重なり、ヤフーは4月の時点で、7月末に宮城県石巻市に「ヤフー石巻復興ベース」を設置し、ここを拠点に被災地支援を本格化することを決定した。
石巻という土地にFocusし、そこで地元の人と日々顔を合わせ、膝を突き合わせる議論をして、一緒に「ビジネス」を創り上げること。そして僕らがいつかその地を離れても、長期にわたって持続可能なモデルにすること。それが僕らのミッションになった。
宮坂はあるタイミングで、僕らに言った。
「日本のインターネット企業で、そこそこの規模を誇るヤフーが、東北の課題解決に挑戦し、そこでビジネスを成立させられなかったら、他の企業は『やっぱり東北でビジネスは無理だ』と思ってしまう。お前らの成功が、今後の復興支援ビジネスのモデルになると思って行ってこい」
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