「はせたく、新規事業と、復興を含めた既存事業、どっちを選ぶ?」
およそ半年かけて、ようやくオープンした「復興デパートメント」(詳細は前回記事で)。
そのお披露目イベントには、多くのメディア関係者が来てくださり、まさにこれからと関係者内も盛り上がっていた。
ところがその翌日。僕は、当時上司だった坂本本部長(現コンシューマ事業カンパニー担当執行役員)に呼び出され、究極の選択を迫られていた。
以前から僕の部署では、みんなで気合いを入れて立ち上げようとしていた案件があり、それをいよいよ本格化させるということだった。そして僕に告げられたのは、新規事業を選ぶか、もしくは、復興事業をやるか。どちらかを選べ、ということだ。
「どっちもやりますよ」
「ダメ」
「じゃあ、既存事業と復興のほうをやらせてください」
当時、自分なりに新規も既存も復興も、すべて全力でやっていて、全部やっつけるつもりだった。でも周りの目はちょっと白くなりつつあったし、正直なところ、体力も気力も限界に来ていた。
会社が力を入れる新規事業には魅力があり、当然、興味も持っていた。ただ、「復興デパートメント」の正念場はまさにこれから。オープン翌日にさよならなんて、それは、いくら何でもないでしょ。
前日に「これから頑張りましょう!」と熱い握手を交わした南相馬のイケメン味噌生産者・若松さんや、「こういう機会をつくってくれてありがとう」と言ってくれたキュートな高砂長寿味噌の社長ご夫妻、NPOのオンザロードやフロンティア南相馬の仲間たちの顔が浮かんだ。
せっかく乗りかかった船。今、ここで降りるわけにはいかない。
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