「復興デパートメント」は立ち上げ直後で、正直、もっと人手が欲しいくらいだった。でも企業として将来性のある新規事業に注力するのはもっともな話。人の成長につながる仕事でもある。
だから、新規事業に集中するようご指名を受けた僕の部下や、復興デパートメントをやりたいと立候補してかかわってくれていた皆さんには、「あとは任せとけ!」と伝え、新規事業へ回ってもらうようにした。
人員削減から、どう巻き返す?
「さあ、これからどうしよう」
ぽつんと残された、僕と須永(浩一・現復興支援室長)は顔を見合わせた。
「でも、僕らがブツブツ言っていたら、みんな嫌な気持ちになるだろうし、どういう体制でやるか考えよう」
須永は驚くほど前向きだった。僕も思った。何だかんだいっても、僕らは部長だ。つまらない態度を、みんなに見せるわけにはいかない。
人手が少ない中で、何とか状況を回していくには……。こうなったら、“ゲリラ的に”いい人材を自らスカウトして、補充するほかない。2人でそう考えて、声をかけたのが、現在、石巻に来ている角田美紗季さん(通称:つんつん)という女子だ。
当時、僕がいた部署では、新卒者に向けて“家族制度”のようなものを用意していた。新人社員の仕事の不安を解消してもらうため、部長(父母)と中堅どころ(お兄さんお姉さん)と新卒者1人が、適宜コミュニケーションを取る仕組みだ。
ちょうど2011年に、新卒のイケメンの面倒を見ていたのが、僕とつんつんのコンビだった。
つんつんと一緒にご飯を食べたときに、復興支援の話をしたら「手伝えることがあったら、いつでも声をかけてください」と言ってくれていた。しめしめ。
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