「絶対ありえない!!」とか言いながら、すぐさま会場に見当をつけて下見に行き、メディアの方に声をかけ、初の試食会までセッティングしてくれた。
その会見の様子を、複数のメディアが記事として取り上げてくれたおかげで、「復興デパートメント」のことをかなり世間に知ってもらうことができたのだ。
次回の連載で紹介する、昨年5月に石巻で行った「現地座談会」についても、ほぼ安田のアイデアだ。
「役員も一緒になって石巻の人たちの前で発表しないと、ヤフーが会社として復興に取り組んだことにならないでしょう? それに、ヤフーがこれから何をやっていくかを、役員にも現地で一緒に考えて、認識してもらう必要があるんじゃないの」
その考えに、僕も同感だった。当然、役員には事前に発表資料を報告しているのだが、今後、復興事業を拡大していくためには、現地で行う座談会にも足を運んでもらったほうがいい。
問題は役員のスケジュールの確保だ。当時、ヤフーは新体制になったばかりで、就任直後の役員は猛烈に忙しかった。ただ、仕事柄、役員とも頻繁にやり取りするポジションにあった安田は、現地座談会の直前にもかかわらず、何とか調整して、社長の宮坂、現副社長の川邊、執行役員の安宅(あたか)和人らの時間を確保してきた。彼女の“巻き込み力”も相当のものだ。
無茶ぶり全開な進め方ではあったが、結果的に、役員3人に石巻まで足を運んでもらった。現地を実際に目で見、肌で感じてもらい、現地のキーパーソンの方々とも交流を深めてもらうことができた。
それにより、“ヤフーの復興事業計画”について、社内で共通認識を高めることに成功した(と思う)。企業として復興支援活動を続けるに当たって、これは重要な過程だっただろう。
考えてみれば、僕らはいつもそんな、「綱渡り状態」で進んできた。こうやって振り返っていると、「このときもひどい目にあった。あのときもひどかった」と安田が「思い出し怒り」をして、またどやされるかもしれないが……(笑)。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら