社員約4000人を抱えるヤフー。この大組織には、知る人ぞ知る“2大塾”が存在する。
ひとつは、人事本部長の本間浩輔によるコーチングやメンタリングを教える「本間塾」。もうひとつが執行役員であり、事業戦略統括本部長となった安宅和人(あたか・かずと)による、課題解決法を徹底指導する「安宅塾」だ。
現社長の宮坂学は、以前から社員研修を重視していた。そのため新体制発足後は、ますます全社的に社員の育成に熱が入るようになっている。安宅塾も本間塾も、志願すれば社員は誰でも入塾できる。
「安宅塾」の代表である安宅さんは、『イシューからはじめよ』という著書を書いた、ベストセラー作家でもある。
彼がヤフーCOO室長時代に書いたこの本では、「本当に優れた知的生産の方法」が説かれている。具体的には、「アウトプットとして、何を生み出すことに意味があるのか」「何が本当のカギなのか」を知る手法が体系的に書かれている。
それを実践すると、なんと「やるべきことは100分の1」にもなるという。この本は、マッキンゼー出身者など一部の間では、バイブル的存在となっている。
その安宅さんが率いる「安宅塾」は、彼がマッキンゼー時代からの有名な塾だったようだ。
僕らが被災地支援のため、東北に足を運んだときも、現地で「安宅さんって、今ヤフーですよね。実は僕、マッキンゼー時代に『安宅塾』にいたんです…」と何人かの人に聞かされ、驚いたものだ。マッキンゼー時代は今より怖い時期もあったとかなかったとかで、「恐怖の安宅塾」だったらしい。
僕からすると、安宅さんは多趣味で色んなことを知っていて、いつもコカコーラゼロを飲んでいるチャーミングなおじさまという感じなので、恐ろしい人という印象はないのだが…。
復興支援というと、どちらかといえば、情熱的な思いが先行して、がんがん進められているような印象があるかもしれないが、実は現場では、理路整然と進められているケースも多い。
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