だが実は、復興にかかわるキーマンには、マッキンゼー出身者が何人もいる。そのコンサル的な考え方が今、東北にどんどん入っていっているのだ。
多くのマッキンゼー出身者は「軸で考えると~」「ここのイシューは~」という言い回しをよく使う。彼らは別にそれを自慢したいわけではなく、話を進めるうちに思わず、口にしてしまうらしい。
「犬の道」にはまってはいけない
それほど影響力のある“安宅節”だが、そのキーワードを口にした当人たちには、入塾時代の大変な思いが走馬灯のように呼び起され、「うわあぁぁぁ…」と叫び出したくなるような気持ちになるという。
そんな彼らの気持ちも、少しわかる気がする。昨年4月から僕ら復興支援室のメンバーは、COOの川邊健太郎の直下にあったCOO室(室長・安宅さん)に籍を置くことになった。それに先立ち、3月から僕らも自動的に、「安宅塾」に入塾することになったのだ。
同時に、復興に関する“キーパーソン”に会いに行って、今後の復興方針を検討する「濃密ヒアリング」も行うことになっていた。
ヒアリングとは、「復興デパートメント」(詳細は過去記事を参照)で何を売るかという具体的な話でなく、そもそもヤフーとして今後、復興支援において何をするべきかという、もっと大きなテーマに関して考えるためである。
どういう軸でテーマを整理し、何に対してどう取り組むべきか。そもそもイシュー、課題とは何か。
彼の著書『イシューからはじめよ』には、「犬の道」という言葉が出てくる。犬のように無駄に知りすぎたり、無駄に悩みすぎたり、うろうろするだけでは生産性がない。いろいろな人に話を聞き過ぎても駄目になる、という意味だ。
「濃密なヒアリングを集中的に実施して、キーパーソンに会えるだけ会って、濃い一次情報を集めるのが重要だ」
塾長・安宅さんは僕らにそう告げた。
僕らは安宅さんから、きちんと期間を決めてキーパーソンに話を伺いに行き、それを元に体系的なヒアリングレポートを作り報告することを課されていた。
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