「3年で辞めるつもりです。修行させてください」
僕はマッキンゼー・アンド・カンパニーの採用面接でそう言い放った。25歳のときだ。今思えばずいぶんと生意気なことを言ったものだけど、ありがたいことにこの会社は、青年海外協力隊で2年間中東シリアに赴任したという、かなり変わった経歴の僕を採用してくれた。
それから3年後の2011年3月、僕は宣言どおりに会社を辞めた。実は昇進した直後だったということもあって、「なぜこのタイミングで……」「もったいない!」という周囲の声も強かった。でも、僕にはどうしても成しえたいと心に決めたことがあった。その成しえたいことこそ、まさにいまクロスフィールズという団体で取り組んでいることなのだが、ではなぜ、僕がそのような強い決意をするに至ったのか。
連載初回の今回は、そのきっかけとなった僕の2つの「原体験」から話を始めさせてもらいたい。
「既存のレール」から外れるために青年海外協力隊へ
僕は学生時代、大して勉強もせずに部活(ラクロス)に明け暮れていた。でも、就職活動が始まる時期になって、ふと悩んでしまった。周りの仲間がこぞって大企業を志望する中で、「決まり切ったレールを進むのはつまらないな」と思ってしまったからだ。
もともとあまのじゃくなところのある僕は、このときも「とにかく就職」という気にはなれず、むしろ「世の中でいま当たり前だと考えられている道」とはまったくかけ離れた経験をしたいと考えていた。すると、ふと目にした電車の吊り革広告に、小学校の教科書で見たことのある「青年海外協力隊」の文字が。直感的に「面白い人間になれそう」だと思い、参加を決意したのだった。
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