そう決まると、これで完璧にどっぷりと石巻に浸かることができる、とますます気合が入った。
唯一、転校先で子供がなじめなかったりするのでは、と気になっていたが、そんな心配は無用だった。息子はすぐに周囲に打ち解けて、さっそく東北弁に“なまって”、今や見事なバイリンガルだ。子供の順応性には本当に感心する。
どうせやるなら、コワーキングスペース!
こうして始まった石巻での生活。家族で住むアパート探しも大変だったが、いま僕が1日の大半を過ごしているオフィス、「ヤフー石巻復興ベース」完成までにも、紆余曲折があった。
具体的にどういうオフィスにするか、須永(浩一・復興支援室長)と僕は話し合いを重ねていた。石巻で行った座談会で発表した壮大な企画を実現するため、ぜひとも新たな産業やIT人材を育成できる場にしたいと思っていたのだ。
そんなとき、僕らの頭に浮かんだのが、近年注目されている「コワーキングスペース」の存在だ。
「コワーキングスペース」とは、フリーランスのエンジニアや起業家などのノマド族が集まり、個々人の仕事以外に、アイデアや情報を交換したりコラボレーションを模索したりして相乗効果をはかるコミュニティだ。近頃は、都内にいくつもの「コワーキングスペース」が誕生し、一大ブームになっている。
そこで、さっそく渋谷の「co-ba(コーバ)」や、ヒカリエの中にある「MOV」などに足を運び、アドバイスをもらった。
原宿の「THE SHARE」を訪問する際には、入居予定のビルのオーナーである三陸河北新報社の西川善久社長にも、はるばる見学に来ていただいた。
そもそも地方紙を発行する同社のビル1階を貸してもらえる話になったのは、西川社長と東日本復興支援財団専務理事の荒井優さんが知り合いだったことによる。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら