荒井さんはソフトバンク社長室勤務の傍ら、東日本復興支援財団の専務理事という肩書を持つ。人と人をつなげる達人だ。 今回も東北の多くのキーマンを紹介してくれ、石巻支社の設立にも尽力してくれた。
僕と荒井さんは震災後、同じソフトバンクグループということもあり個人的なNPO活動でも一緒になる機会が何度かあった。うちの副社長・川邊とも学生時代からの友人である。
実は当初、「ヤフー石巻復興ベース」は、現在の道路側に面したスペースではなく、ビル奥に位置する、目立たない部屋に入る予定だった。
しかし、それではコワーキングスペースの存在に気づいてもらえない。そこで目立つ場所への変更をお願いしたのだが、河北新報という東北随一の新聞社の入り口に、人が頻繁に出入りする「コワーキングスペース」を設けようというのだから、相応の理解を得る必要があった。
IT企業では、前代未聞?
「東京ではこういう“コワーキングスペース”は普通なんですよ」
ときには、そんな誇張を交えた説明もして(西川社長、スミマセン)、無事、了承を得ることができたのは、荒井さんのおかげも大きい。
考えてみれば、転勤することになった社員が、その支社の場所探しから内装まで一から考えるという状況も、かなり珍しいことだろう。
「コワーキングスペース」のように、誰でも出入りできるオープンな環境は、通常のヤフーのセキュリティではありえない。
六本木の本社では、部外者は申請許可がない限りなかなか入室できないし、行きたい場所にたどりつくためにエレベーターを何度も乗り換えることすらある。警備員もたくさん立っていて、外部の人からは、まるで厳戒態勢を敷いているようにも見えるかもしれない。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら