元ダメ店長、ハンバーガー大学から世界へ OB・有本均氏に聞く

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マックバカ、世界を目指す

ユニクロを辞めてからコンサルの仕事は引きも切らなかった。しかし有本のキャリアを貫くのは、マクドナルドで培った「現場へのこだわり」だ。飲食業ではなくても、小売業でもアパレル業でもいい。とにかく現場の近くにいたい、機会があれば自分も現場に入って一緒に会社を変えていく仕組みを考える仕事をしたい。有本が選んだのはハンバーガー大学、ユニクロ大学のように研修に特化した“社外大学”をやるという道だ。

現在、有本が学長を務めるグローイング・アカデミーはサービス業に特化した研修会社だ。サービス業の経営者であれば人材教育の大切さは理解しているが、費用や時間をかけられない小さな企業が大半だ。「サービス業で成功するには人を育てることしか道はない。そのことにどれだけ貢献できるか」。一方でサービス業は15歳から80歳まで働くことができる。卸売・小売業の就労人口は1030万人と製造業と並ぶ、日本の最大規模の産業だ。サービス業が発展すれば、日本の社会にも貢献できる。有本はそう考えている。

12年4月にBCホールディングスの出資を受け、運営会社ホスピタリティ&グローイング・ジャパンを設立。サービス業を経営する企業向けに、接客や店舗運営の研修を定額で提供するサービスを開始した。昨年末までに外食や小売業から約80社の会員を集めた。

グローイング・アカデミーのようにサービス業に特化し、定額制で研修を提供する会社はない。「サービス業の教育と言えばグローイング・アカデミーという存在になりたい」と有本は語る。当面は国内市場でのブランド浸透が目標だ。13年中に300社の会員を集め、黒字化を目指す。

その先に見据えるのは海外展開だ。ハンバーガー大学のプログラムの多くは、マクドナルドの本社があるアメリカで開発されている。アメリカで開発された研修が世界で通用するなら、日本で開発した研修も世界で通用する。「日本のおもてなしの心は海外にも広められるはず」と有本はにらむ。

ただ研修サービス業はノウハウさえあれば立ち上げることができるため新規参入の垣根が低い。「私を含めた現場経験豊富な講師陣が強み」と有本は力説するが果たしてそれだけで同業の追撃をかわしきることができるのか。

有本の「現場主義」という熱い思いは世界に広がる。「マックバカ」の挑戦は世界に通じるか。勝負はこれからだ。(敬称略)

(撮影:尾形文繁)

松浦 大 東洋経済 記者

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まつうら ひろし / Hiroshi Matsuura

明治大学、同大学院を経て、2009年に入社。記者としてはいろいろ担当して、今はソフトウェアやサイバーセキュリティなどを担当(多分)。編集は『業界地図』がメイン。妻と娘、息子、オウムと暮らす。2020年に育休を約8カ月取った。

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