元ダメ店長、ハンバーガー大学から世界へ

OB・有本均氏に聞く

外食の巨人――店舗数や売上高では他社を圧倒するマクドナルド。外食企業の最大手として、100円マックや「プレミアムローストコーヒー」の投入など常に話題を集めている。一方で、24時間営業店や店長の未払い残業代の問題で労働環境には悪い印象があり、両極端のイメージで語られてきた。ただ、果たしてそれは本当のマクドナルドの姿を写しているのか。マクドナルドに20年以上勤め、退職して新たなキャリアを歩むOBたちは、過去を懐かしみ、堰を切ったように”俺のマクドナルド”を語り出す。
「マクドナルドは人を大切にするから、外食産業ナンバーワンだ」とあるOBは断言する。
その理由を語るのに適した人物がいる。有本均だ。有本はマクドナルドのハンバーガー大学、ファーストリテイリングのユニクロ大学と2つの社内大学の学長を経験し、現在はグローイング・アカデミーという研修会社でトップを務める。マクドナルドの人材教育を知り尽くした存在だ。
 
有本の話は30年前のエピソードから始まった。

 

「バイトは褒めない」が当たり前だった時代

有本が今でも思い出す研修がある。店長になる1980年頃のことだ。社内の研修機関ハンバーガー大学で、コミュニケーションの研修があった。そのときの研修内容の1つで「アルバイトの人に何か頼んだら”ちゃんとやってくれてありがとう”と言いましょう」と言われたときのことだ。

自分が店長でアルバイトの人に何か頼むことは日常茶飯事、1日何百回とある。アルバイトに何かを頼むことは当たり前のことになっていて、いちいちお礼も言わない。それを会社はマニュアル通りやってくれたことに感謝しなさい、ちゃんと褒めなさいと言う。

今でこそ、アルバイトを「褒める」ことは当たり前になっている。ただ30年前は違った。「当時の常識ではアルバイトを褒めるなんて絶対になかった。“褒めたらつけあがる”と本気で思っていた。あまりにもインパクトがあったので今でも覚えている」。

日本人の大半が有本と同じことを思っていた80年頃、マクドナルドでは既に「褒める」や「ありがとう」といったことを教える研修があった。「こういったコミュニケーション研修に関する比率は確実に上昇している」と有本は説明する。30年以上前からマクドナルドはこういったコミュニケーションやリーダーシップなど人間関係に関する研修に力を注いできた。その積み重ねがマクドナルドを支える強みになっている。

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