「バイトは褒めない」が当たり前だった時代
有本が今でも思い出す研修がある。店長になる1980年頃のことだ。社内の研修機関ハンバーガー大学で、コミュニケーションの研修があった。そのときの研修内容の1つで「アルバイトの人に何か頼んだら”ちゃんとやってくれてありがとう”と言いましょう」と言われたときのことだ。
自分が店長でアルバイトの人に何か頼むことは日常茶飯事、1日何百回とある。アルバイトに何かを頼むことは当たり前のことになっていて、いちいちお礼も言わない。それを会社はマニュアル通りやってくれたことに感謝しなさい、ちゃんと褒めなさいと言う。
今でこそ、アルバイトを「褒める」ことは当たり前になっている。ただ30年前は違った。「当時の常識ではアルバイトを褒めるなんて絶対になかった。“褒めたらつけあがる”と本気で思っていた。あまりにもインパクトがあったので今でも覚えている」。
日本人の大半が有本と同じことを思っていた80年頃、マクドナルドでは既に「褒める」や「ありがとう」といったことを教える研修があった。「こういったコミュニケーション研修に関する比率は確実に上昇している」と有本は説明する。30年以上前からマクドナルドはこういったコミュニケーションやリーダーシップなど人間関係に関する研修に力を注いできた。その積み重ねがマクドナルドを支える強みになっている。
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