マックバカの大御所、現役クルーに”喝”

OB・藤本孝博に聞く(下)

外食の巨人もいよいよ伸び悩みの局面を迎えている。
業績が苦戦するマクドナルドに「おまえら、もっとがんばらなあかん」と檄を飛ばす人がいる。藤本孝博氏だ。マクドナルドに24年間勤め、営業本部長やプレミアムローストコーヒーの無料配布などマーケティングキャンペーンを担当した。その恰幅のよい体格と、面倒見のよさから「マクドナルドのボス」(写真)と呼ばれてきた。
マクドナルドといえば「人を大切にするから、外食産業ナンバーワンだ」と断言するOBがいる一方で、24時間営業店や店長の未払い残業代の問題で労働環境には悪い印象があり、両極端のイメージで語られてきた。はたしてどちらが本当のマクドナルドを映しているのか。前回はマクドナルドに入社してから、九州地区や東京地区の立て直し、マックバカの教育法を語った。ではなぜマックボスはマクドナルドを去ったか、話を聞いた。

インタビューの前編はこちら

――外部から見れば「たかがマクドナルド」をどうやって「されどマクドナルド」に変えていくのでしょうか。

変えていくのは役職の上からじゃない、店舗で働くアルバイトや従業員などのクルーからです。マクドナルドでは会社の方針を店舗のアルバイトに浸透させることを「クルーの末端まで下ろす」と表現します。僕はこれが大嫌いでした。クルーがいるところは“末端”じゃなくて“先端”です。お客さんはそこにしかいない。ここを末端だと思っている人が外食ビジネスを成功させたり、成長させたりすることはできない。僕がマクドナルドにいる間に「クルーの末端まで下ろす」という言葉を追放するのが目標でした。

高級ホテル並のエンパワーメントを!

――藤本さんはいつからそう思うようになったのでしょうか。

僕がある店の店長をしているときに気づいた。僕が店長として2番目に担当した店で、スーパーの中にあった。この店はいいクルーに恵まれ、いちばんスムーズにオペレーションが回る店でした。

当時は高級ホテルのリッツカールトンやフォーシーズンズ、百貨店ノードストロームといった企業のエンパワーメント(従業員が守るべき行動指針)がはやっていた。エンパワーメントの本には「ルールが多ければ多いほど、人はルールを破ろうとする」と書いてある。確かノードストロームの例だったと思うが「うちのルールはたったひとつだけ。あなたの判断で目の前のお客さんにとってベストだと思うサービスをしてください」と書いてあった。

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