西川さんは、パニーさんと出会って、「グローバルな価値観を持つリーダーになる」ということの意味を実感したという。
「アメリカでは、『多様性を生かしましょう』というダイバーシティの考え方を教えられるので、『違い』ばかりに目がいきがちです。でも、パニーと出会って、見た目や人種は違っていても、『共通点』があることに気づかされました。そこに、共感して、お互いを理解することができます。そこを見出していくのが、グローバルリーダーの役目ではないかと思っています」
現在も、実家に仕送りを続けながら、留学生活を送っている西川さん。「内定もいくつか頂いているので、何とかローンは返せそうです!」と、力強く答えてくれた。
逆境から生まれるリーダーシップ
2012年9月、西川さんは、自分のリーダーシップスタイルに大きな指針を与えてくれた授業と出合う。ミシガン・ロスで20年近くも続いている人気授業、リンダ・リム教授の「Business in Asia」(アジアのビジネス)だ。
リム教授は、授業で「欧米での成功の方程式がそのままアジアに当てはまるわけではなく、アジアにはアジアならではの成功のしかたがある」と説く。リーダーは国や文化を尊重して、初めて成功できるのだ。
4カ月間の授業の中で、西川さんが特に忘れられないのは、アジアを代表する高級リゾート、バンヤンツリーホテルズ&リゾーツの創業者、ホー・クウォンピン氏のリーダーシップについてリム教授が言及した回だった。
ホー・クウォンピン氏(60歳)は、アジアで最も成功した起業家の一人と言われている。
シンガポールの貿易会社を経営する裕福な家庭に生まれたホー氏は、米スタンフォード大学に入学するも、ベトナム反戦運動に参加し、退学。その後、ジャーナリストとして経済紙などで働くが、扇動的な記事を書いたことが原因で、シンガポールで2カ月間投獄されたこともあるという。
ホー氏は、英BBCのインタビューで「(事業という形に表現の仕方は変わったが)『理想を追い求める姿勢』は今も忘れていない」と語っている。
1981年に、実家のビジネスに本格的に参画し、1994年バンヤンツリー社を立ち上げた。2013年現在、世界27カ国に30のホテルリゾートを展開している。
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