学生は全員、入学1年目の春に2カ月間にわたって、クライアント企業のコンサルティングプロジェクトを行う。
150社を超える企業がスポンサーとして名乗りを上げており、学生のホテル代、航空運賃など、実費を負担する。コンサルティング料は無料だ。
「海外研修は自費」という学校が多い中で、ミシガン・ロスは、クライアントがすべての費用を負担するというシステムを作り上げ、成功している。
150社のリストの中から、興味のある企業を希望順に1位から15位まで選び、提出すると、学校側がクライアント企業を割り当ててくれる仕組みだ。
西川さんがコンサルティングをすることになったのは、カリフォルニア州にある新興ゲーム会社。PCオンライン対戦ゲームで有名な企業だ。
チームメンバーは、インド系、ユダヤ系、アングロサクソン系のアメリカ人4人だった。同社が海外進出プロジェクトを依頼するため、「ヘブライ語、ヒンディー語、日本語ができる人」を希望したからだという。
プロジェクトのテーマは「海外進出の一環として、数年以内にインドへ進出するべきかどうか、市場調査を元に提言すること」となった。
2012年3月にまず西海岸に飛び、2週間市場調査の準備。その後、ミシガンにいったん戻った後、インドのムンバイとデリーに2週間滞在した。
元コンサルタントの西川さんが、調査の大枠を提案し、インターネットや携帯電話の普及率をはじめ、いくつかの指標を軸に定量調査、定性調査を進めていった。
インドでは、ミシガン・ロスの卒業生のネットワークを生かし、ゲーム会社、携帯電話会社、プロバイダ会社など全部で20社余を訪問し、詳細なインタビューを行った。
インタビューの過程で感じたのは、インド経済の「イケイケ感」だ。
「チームメイトの1人、インド系アメリカ人の親戚の起業家に取材に行ったのですが、『君、普通の会社勤めじゃ、せいぜい年俸数千万円だよ! もっと稼ぎたいんだったら、起業しなきゃ!』って言われましたね。起業=成功=おカネ=幸せという価値観が、今の日本とは違うなぁと思いました」
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