日ハム・武田久はアラサーでも進化し続ける 小さな大魔神の「突っ張る」力

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求道者の話は、実に哲学的だ。その内容をひもとくと、体をひねりすぎると打たれる理由のひとつは、リリースポイントが見やすくなるからだろう。ひねると上半身のパワーを使える反面、体の芯がブレやすくなり、コントロールが悪くなる可能性もある。

一般的なピッチャーは、速いボールを追い求めがちだ。それは投手の本能といえるだろう。

しかし、武田久は「スピードも上げたくないし、体も大きくしたくない」という。「バランスが変わるから?」と聞くと、「感覚ですね」と答えてくれた。

この感覚こそ、武田久が誇る最大の武器だ。おそらく彼は、140kmでも打ち取れるボールをわかっているのだろう。体が大きくなり、球のスピードが上がれば、投げる感覚が変わって打ち取れるボールを投げられなくなる。

生きた球とは何か?

先日、南海やダイエー、西武などで強打者として活躍し、首位打者にも輝いたことのある佐々木誠に話を聞く機会があった。社会人のNTT西日本硬式野球部の監督として今年のドラフト会議で増田達至(西武ドラフト1位)、安部建輝(DeNAドラフト5位)と2人の投手をプロに送り込んだ佐々木は、こんな話をしてくれた。

「バッターから見て、どんなフォームなら球が見やすいのか、どういう球筋が嫌なのか、どういう球なら打てないのかという話をしてきました。ピッチャーで大事なのは、ホームベースの上でボールが生きているかどうか。いくらボールが速くても、ベース盤の上で死んでいれば、バッターは何とも思わない。生きた球というのは、ボールの初速と終速が変わらない状態。初速が150kmでも、終速で143kmだったら何とも思わない」

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