日ハム・武田久はアラサーでも進化し続ける 小さな大魔神の「突っ張る」力

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一般的なクローザーには、豪速球と宝刀の変化球で打ち取る者が多い。“大魔神”こと佐々木主浩(元横浜)や藤川球児(来季からシカゴ・カブス)、浅尾拓也(中日)が代表格だ。三者とも、うなりを上げるようなストレートと落差の大きなフォークで、打者を力でねじ伏せていく。

対して、武田久は一撃必殺のボールを持たない。だからこそ、彼には特有の安定感があると日本ハムの栗山英樹監督は言う。

「投球術で打ち取れるので、球が悪いときでも抑えてくれる可能性が強いですよね。ただ、球威だけで抑えをやっているわけではないので。本当に、久みたいなピッチャーをつくるのは大変ですよ」

悪い状態でも抑えられるから、監督は安心してマウンドに送り出すことができる。武田久はそんな安定感を、どうやって身に付けたのだろうか。12年1月6日、さいたま市の日本通運総合運動場で西武の牧田、日本ハムの谷元圭介ら計8人と行った合同自主トレに訪れると、その理由が垣間見えた。

140kmでも打てない真っすぐ

アップの後、キャッチボールを始めた武田久は、ゆっくりと肩をならす周囲を尻目に距離をグングン広げていった。肩が出来上がるのが早いのだろう。

目についたのが、リリースポイントを試合中より前に置いて投げていたことだ。それでも、相手の胸にシュッというボールが正確に届く。この投げ方の目的について、練習後に聞いてみた。

「前で離すのは、結果として。自分なりの感覚です。今年はトレーニングの難易度を上げている。難易度を上げれば、強度も上がるので」

リリースポイントを前にすれば、当然、投げるための難易度は上がる。体の動きが合理的でなければ、正確に、キレのある球を投げることはできないはずだ。そんなことを考えていると、周囲の記者が次の質問を投げかけた。トレーニングの難易度を上げるのは、より速いストレートを投げるためか?

「投げ方を改良していきたい。それも感覚だから。もうちょっとよくなるだろうと思っています。たとえば140kmでも、打てない真っすぐがある。ヒントを言えば、体の動きと球の質。体をひねりすぎると、打たれる。いい球といいフォームはイコール。野球は人対人だから、そこに改良の余地がある。どこがゴールかわからないから、どこまでも求めていく。対自然の競技には、それはない。いい球を投げるのは最低限の話」

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