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ダロン・アセモグル教授のトランプ政権批判「血塗られたミネソタ問題はトランプ権威主義政権の流れを変える転換点になりうる」

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ミネアポリスではICEへの抗議活動が続いている(写真:Bloomberg)

トランプ政権は、対抗する意見をかき消す「flood the zone(洪水で埋め尽くす)」戦略を用いている。そのため、アメリカが権威主義へ転落する過程を押しとどめる転換点がいつ訪れるのかが見極めにくくなっている。

しかし1月にミネアポリスで移民税関捜査局(ICE)職員によって2人のアメリカ市民が殺害された事件は、まさにその転換点となるかもしれない。

反対派を弾圧するための過剰な武力行使

権威主義的な政府の大きな特徴は、反対派に対して過剰な武力を行使する点にある。

チェコ・プラハに本拠を置く国際的NPO「プロジェクト・シンジケート」は多くの有力者の論評・分析を配信しています。「グローバルアイ」では、主に同シンジケートのコラムの中から厳選して翻訳・配信しています。

あらゆる政府は警察活動において強制的手段を用いるわけだが、そこには明確な境界線がある。

たとえばイギリス政府は抗議者を排除するために武力を行使できる。ただし、様々な制度的抑制と権威主義に対する規範の強さにより、イギリスで警察が抗議者を無差別に殺害することは考えられない。

それとは対照的に、アラブの春における抗議活動に対して、当時のシリア大統領バッシャール・アル=アサドが殺戮的な対応を示したことは、まったく驚くべきことではなかった。独裁政権が反対勢力や独立メディア、その他の市民社会の対抗勢力に対して武力を行使できること、また実際にそうすることがあることを、ほとんどの人が理解している。

民主主義社会や広義の非権威主義社会において、このような暴力的な反対派弾圧にはいくつかの障壁が存在する。

第一に、こうした弾圧を行うと他の政府機関や市民社会から大きな反発を招き、逆効果となる可能性が高い。第二に、政府は治安部隊がそのような命令に従うことさえも確信できない。第1期トランプ政権において、米軍指導部は市民を弾圧する命令には従わないことを明言していた。

しかし1月にミネアポリスで移民税関捜査局(ICE)職員によって2人のアメリカ市民が殺害された事件は、一線を超えたものだ。

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