日ハム・武田久はアラサーでも進化し続ける 小さな大魔神の「突っ張る」力

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ずば抜けた安定感

屈強な男たちが競うプロ野球の世界で、彼は極めて小柄だ。12年2月時点で、12球団に在籍した全785選手の平均は180.7cm、82.6kgで、投手に限れば182.2cm、83.0kg(データは『週刊ベースボール』2012.2.24増刊号より)。170cm、73kgの武田久は、日本人の成人男性平均と変わらない数字だ。 

しかし、この右腕投手は自らの体躯を効果的に、かつ最大限に使うことで、周囲がマネできないような偉業を成し遂げてきた。12年9月11日のロッテ戦で通算456試合登板を果たし、球団記録を45年ぶりに更新。このシーズンには32セーブで自身3度目の最多セーブ投手に輝き、チームを3年ぶりのリーグ優勝に導いている。

「久さんは、小さな大魔神ですよね」

そう話すのは、西武の牧田和久だ。武田久と同じ日本通運からプロ入りし、11年にクローザーとして新人王に輝いた下手投げ投手は、先輩のすごみをこう説明する。

「スピードがずば抜けているわけではないけど、安定感がすごい。クローザーは安定していないといけませんから。フォアボールの後にホームランを打たれたら、それだけで2点入りますよね? 僕がクローザーとして一番心掛けたのは、安定感です」

武田久の投じるストレートは、平均球速140kmと速くない。しかし、左足を大きく振み出し、右ヒザが地面に擦れるほど沈み込むことで、全身を使ってキレのあるボールを投げ込んでいく。リリースポイントが低く、バッターはボールが浮き上がってくるように感じるという。そのストレートにスライダーやフォーク、シュート、カーブを織り交ぜ、凡打の山を築いていく。

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