もともと海外の商品であったキットカットは、日本でのブランドイメージに多様性があった。それは社内においても同様であり、いったいキットカットとは何であるのか、何であるべきなのかという点については議論がなされていた。「きっと勝つ」という駄洒落は、ちょうどそうしたブランドの問い直しが行われていた頃、自らの変革を後押しする一手として顧客から与えられたのだ。
技術やブランドを最大限活かすために
電気という技術と、「きっと勝つ」という駄洒落(を生かしたブランド)。どちらもビジネスにおいて重要な役割を担った。大事なのは、小手先で対応してすぐに役立ったわけではないところだ。
電気という技術をより役立てるためには、工場のレイアウトを変更する必要があった。「きっと勝つ」という駄洒落が生きるためには、企業の中でブランドの意味を問い直し、企業の新しい方向性を決めておく必要があった。
ソーシャルメディアもまた、同じであるように感じる。生産性を高める技術としての側面を有するとともに、メディアとして顧客の声を拾い上げ、ブランド価値を高める。だがいずれも、そのためには企業の側が変わらねばならない。
実際にどうやって自分たちを変えていけばいいのか。これはこれで悩んでしまう問題かもしれない。しかし最初にやるべき作業がわかっただけでも、ずいぶんと前進できたように思う。ソーシャルメディアをどう使うかではなく、まずは、ソーシャルメディアをきっかけにして自分たちがどう変われば良いかを検討することから始めればいいのだ。
【初出:2012.10.27「週刊東洋経済(本当に強い大学2012)」】
(担当者通信欄)
工場レイアウトの変化や、キットカットの事例からソーシャルメディアを考えるという視点、新 鮮でした。大学受験といえばキットカット……。懐かしい思い出としてよみがえってきます。駄洒落もマーケティング的に考えれば捨てたもんじゃない、という ことなのですね。それを活かせる土壌こそ重要なのではありますが。
さて、水越康介先生の「理論+リアルのマーケティング」連載第2回は2012年11月19日(月)発売の「週刊東洋経済(特集は、ソフトバンクの世界作戦)」に掲載!
ユーザー自身、つまり私たち自身が「欲しい!」と思うものを作ってもらう方法がある!?
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