バカ売れする「受験便乗」菓子はココが違う 語呂合わせだけじゃない存在価値を訴求

✎ 1〜 ✎ 20 ✎ 21 ✎ 22 ✎ 23
拡大
縮小
受験は人生の大イベントの一つ。受験生だけでなく、周囲を巻き込んだマーケティング力が問われている(筆者撮影)

受験シーズン真っただ中である。受験関連のお菓子を知っている、あるいは食べたことがあるという人も多いのではないだろうか。「きっと、勝つ」の「キットカット」、「受かーる」の「ウカール」、寝てても木から落ちないことから「コアラのマーチ」……。

どうやら、この時期になると爆発的に売れている商品もあるらしい。単なるネーミングの工夫にとどまらない、マーケティングの秘密に迫った。

受験生応援を打ち出したら売り上げ倍増

この連載の過去記事はこちら

「受験応援」で有名なお菓子の筆頭は、「きっと、勝つ」こと「キットカット」だ。販売元のネスレ日本によると、受験生向けの取り組みを始めた2003年以前と比べると、現在キットカットの売り上げは2倍以上に拡大。ある調査によると、受験生全体の半分以上が、受験時にもらったことがあるという。

九州の方言「きっと勝つとぉ」という消費者の声が始まりともされるが、社内にその声が入ってきた当時は、「ダジャレでしょ」とまったく相手にされなかった。そこから、受験生向けメッセージで商品価値を高めることに成功し、現在のポジションを確立した。どんな変遷があったのか。

まず、キットカットという「チョコ」では差別化が難しかったことが前提にある。大袋にしたり、食べやすい形にしたり、試行錯誤を繰り返したが、「チョコ」としての成長は頭打ちが続いていたという。

次ページ発売したきっかけは?
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT