【産業天気図・2009年度前半~後半】日本産業界は09年度いっぱいは大雨注意報、本格回復は再来期以降か
雨足は弱まるどころか、一層激しさを増すばかりだ。昨年来の金融危機の実態経済への影響は日に日に広がっており、「会社四季報」記者の見立てでは、2009年度いっぱいは、日本の産業界には「雨」が降り続きそう。原材料価格の下落など、企業業績にとっては朗報がないわけでもないが、多くの業界では需要減退があまりに深刻。本格的な業績底入れで長雨があけるのは早くても10年度以降となりそうだ。
米国を中心とした“金融バブル”の崩壊は、あっという間に日本の産業界を不況一色に染めた。北米を中心とした消費減退に伴って、「自動車」「家電・AV」などが急失速し、こうした主要需要家の減産による影響は、「電子部品」や「化学品」など関連業界にも波及。製造業を中心とした雇用縮小により、「人材サービス」も苦戦を強いられている。また、景気や雇用の先行き不安が一段と深まり、消費欲はますます減退しており、「百貨店」や「外食」など内需型の小売り・サービス業界も低迷する状況となっている。
さらにここへきて、これまでは好不況に比較的左右されにくいとされてきた業界にまで、不況の波が押し寄せてきた。今回の「産業天気図」でも、前回まで09年度前半については「曇り」予想だった「鉄道・バス」「食品・飲料」「スーパー」「ソフト・サービス」「商社」が軒並み「雨」予想へと悪化した。
一方で、09年度後半の予想については、業界によってバラつきが出ている。今のところ09年度唯一のプラス要因といえるのが原材料価格の下落だが、こうした状況下で「化学」や「外食」については経費節減効果もあって「曇り」にやや回復する見通し。また、「外食」の日本マクドナルドホールディングス<2702>や、アパレルのファーストリテイリング<9983>のように、低価格戦略などが奏功して不況下でも好業績を維持している企業があるなど、明暗がハッキリと分かれる業界も出てきている。
目下、最も気になるのは業績の回復時期だが、製造業を中心に在庫調整などが一段落したとしても、肝心の需要が盛り返すのは早くても11年3月期以降になりそう、というのが「四季報」記者の共通見解で、09年度は日本企業にとって我慢の1年となることは間違いない。業界によっては再編やむなし、の状況となっているが、個別企業でも経費節減で厳しい時期を乗り切るだけでなく、発想の転換などで「一皮むける」努力が求められる年となりそうだ。
主要業種の天気予報図 (業種名をクリックすると各記事にジャンプします) |
業種名 | 天気図 | |
09年4月~09年9月 | 09年10月~10年3月 | |
建設 | ||
工作機械 | ||
建設機械 | ||
造船/重機 | ||
海運 | ||
空運 | ||
鉄道/バス | ||
パルプ/紙 | ||
石油/石炭製品 | ||
化学 | ||
ガラス/土石製品 | ||
鉄鋼 | ||
非鉄金属 | ||
商社 | ||
半導体 | ||
電子部品 | ||
精密機器 | ||
ソフト/サービス | ||
家電/AV | ||
情報/通信 | ||
放送/広告 | ||
食品/飲料 | ||
医薬品 | ||
自動車 | ||
百貨店 | ||
スーパー/コンビニ |
(スーパー) |
(スーパー) |
損害保険 |
|
|
外食 | ||
住宅/マンション | ||
銀行 | ||
証券 | ||
人材サービス |
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