【産業天気図・鉄道・バス】流通、不動産など非運輸が低迷。鉄道収入も中長距離に加え、近距離も軟化の兆し
09年4月~9月 | 09年10月~10年3月 |
鉄道・バス業界の2009年度の見通しは、前・後半とも「雨」となりそうだ。非鉄道事業である流通や不動産、レジャー事業の低迷が深まっているうえ、ここへきて、柱の鉄道収入にも暗雲がたれ込めてきている。
上場JRでは、東日本旅客鉄道<9020>と東海旅客鉄道<9022>が3カ月前と比べて業績見通しを目立って悪化させている。JR東は、ビジネス利用や旅行などの中長距離運輸収入の減退が強まっている。加えて、これまで成長を続けてきた駅ナカ物販、不動産賃貸も大型の新規開業など目立ったプラス要因がないだけに、09年度の営業利益は続落となる公算が大きい。東海旅客鉄道<9022>も新幹線の客数続落が想定されるうえ、新型車両の投入などで償却負担の高止まりが重荷となる。百貨店、ホテルも厳しく、09年度も営業減益が続くもようだ。
大手私鉄の業績見通しも悪化している。「東洋経済オンライン」では私鉄上場大手13社合算ベースの09年度前半の営業利益を前期比で17%程度の減益と予想している。各社とも業績面での目立ったプラス要因を見出し難い状況だ。
鉄道会社は、株式市場においては、比較的景気動向に業績が左右されづらいディフェンシブ銘柄として位置づけられる。ただ、運輸と併せて沿線で流通、不動産やホテル・レジャー事業を展開し、これが業績の第二、第三の柱となっている会社が多く、景気低迷の深刻化を受けて、これらの事業の不振が連結業績全体の足を引っ張っている。また鉄道事業においても、ビジネスや旅行などの中長距離利用が低迷を深めているうえ、昨年の10~12月からはJR、私鉄とも通勤・通学や買い物利用などが中心の近距離にも弱含む傾向が見え始めた。
「東洋経済オンライン」の予想は、上場鉄道会社の営業利益の合算ベースで、09年度前半は前年同期比7%の減益、09年度後半はほぼ横ばい程度。業績の目立った回復はさらに先になると考えている。
(水落 隆博)
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