【産業天気図・人材サービス】景気低迷の長期化響き、製造派遣の土砂降りに続き、事務・技術者派遣も「雨」模様
09年4月~9月 | 09年10月~10年3月 |
人材サービス業界の天気は前回(昨年12月)の「雨」予想に引き続き、2009年度前半、後半とも雨模様となりそうだ。08年末には大手製造業による大規模な「派遣切り」が社会問題化した。その流れは止まることなく、業界団体の推計によればおよそ40万人が職を失ったとされる製造派遣(請負含む)に続き、一般事務派遣や技術者派遣でも09年3月以降、厳しい局面となりそうだ。
派遣契約の中途解除など、いわゆる「派遣切り」は今始まったことではない。これまでも思わぬ生産調整など客先の事情によって派遣労働者が突然職を奪われる事態は少なくなかった。ただ大手派遣会社は通常、幅広い産業を顧客としており、たとえば電機業界の生産調整で職場を失った派遣労働者には、次の仕事先として自動車業界を紹介するなどのやりくりでうまく調整を行ってきた。ところが今回のように、ほとんどの製造業で減産による雇用調整を行うとなると、たちまち機能不全に陥ってしまう。大手の製造派遣各社は目下、前年比で売上高4割減の低水準で推移しているとみられ、業界全体が存亡の危機にある。
製造派遣大手は未上場企業が多いが、上場している中堅のワールドインテック<2429>の09年12月期は大幅な減収減益、売上高はやはり4割程度落ち込む見通しだ。また東海地盤のアウトソーシング<2427>は同業のフリーワークとの合併があっても、会社計画とは裏腹に09年度も減収減益は免れないだろう。日雇い派遣大手のフルキャストホールディングス<4848>も製造派遣の低迷が響き09年9月期は一転赤字転落となる。
製造派遣に比べて堅調とみられていた技術者派遣も開発費抑制基調が強まるなか、難しい舵取りを迫られている。経営再建中のラディアホールディングス(旧グッドウィル・グループ)は派遣先の決まらない技術社員約4000人の人員削減を発表。業界大手のメイテック<9744>、アルプス技研<4641>とも09年度は大幅な減収減益の見通しだ。
これまで契約の中途解除などはあまり生じていなかった事務派遣も3月末での契約満了、雇い止めが相次ぎそうだ。牽引していた金融や自動車向けが総じて軟調のため、大手のテンプホールディングス<2181>、パソナグループ<2168>とも09年度は減益が見込まれる。
(風間 直樹)
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