【産業天気図・半導体】経営破綻続出!供給量増加は鈍化でも需要低迷続き「雨」降り止まず
09年4月~9月 | 09年10月~10年3月 |
半導体産業は2009年度前半そして後半とも「雨」となる。その理由は、供給量増加は鈍化するものの、需要量の低迷が続くためである。
09年は早々から経営破綻が相次いだ。1月には独シーメンス発祥で欧州唯一のDRAM企業であるキマンダが「資金不足」を理由として事業再生手続き開始を申請し経営破綻した。続く2月には米国アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)と富士通との合弁で発祥したNOR型フラッシュメモリ世界首位である米国スパンションの日本子会社が「資金繰りが行き詰まった」として会社更生手続き開始を申請、さらに3月には米国スパンション本社が米国連邦破産法第11条の適用を申請しやはり経営破綻した。
ただ「他人の不幸は蜜の味」という。こうした相次ぐ経営破綻により、現在のところ生き残っている半導体各社は需給緩和解消の恩恵を享受できる可能性がある。実際に、最も市況性の強い品種であるDRAMやNAND型フラッシュメモリでは市況は底入れ傾向にある。
だが、相次ぐ経営破綻により供給量増加が鈍化しても、半導体産業が厳しい事業環境に置かれていることは変わらない。その理由は2点ある。第1点は需要量の低迷が続くこと。パソコンは半導体搭載数の低い「5万円パソコン」にばかり脚光が当たっている。デジタル家電の花形商品である薄型テレビの販売も冴えない。さらに、最も安定的な市場を期待されてきた車載電装品向けも急減している。この3つの逆風を押し返すほどの需要増加は期待薄なのである。
そして第2点は、台湾勢との経営統合を機に韓国サムスン電子の追撃に燃えるエルピーダメモリ<6665>を数少ない例外とすれば、日本勢がいずれも様子見の姿勢を強めていることだ。もともと日の丸半導体の特質は、日立製作所<6501>・東芝<6502>・三菱電機<6503>という「重電御三家」、そしてNEC<6701>・富士通<6702>・OKI<6703>という「電電御三家」が、いずれも社内需要あるいは企業グループ内需要を基盤とする垂直統合型のビジネスモデルだったことにある。
だが、そうした重電御三家や電電御三家は、コンピューター、電話交換機、デジタル家電、そして車載用電装品という需要基盤が次々と弱体化したことにより、いま改めて事業リスクの大きさに直面している。設備投資は先送りが相次ぎ、OKIに至っては昨年10月に半導体事業から撤退し、そして東芝・NECエレクトロニクス<6723>・富士通マイクロエレクトロニクスといったシステムLSI各社は、表面上は業界再編のテーブルに着こうとしているが、実際には様子見状態が続いている。
こうした状況下では半導体産業の次の主体的な展望は描けない。つまり需要面でも、事業戦略の面でも、09年度の前半そして後半に至るまで、半導体産業には本格的な晴れ間がのぞくことは期待薄と考えざるを得ないのである。
(石井 洋平)
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