【産業天気図・証券業】金融危機直撃でまさにどしゃ降りの「雨」が続く。リストラ、大型再編も進む
09年4月~9月 | 09年10月~10年3月 |
証券業界は、まさにどしゃ降りの「雨」の中にいる。
昨秋のリーマンショック以後、一段と混迷の度合いを増した米欧を中心とした金融不安は、収まる気配を見せない。世界の実体経済にも金融危機の悪影響が及んでおり、証券業も収益環境は好転の兆しが見えない状況だ。証券業の2009年度前半の天気見通しは「雨」として、前回(昨年12月)予想を踏襲する。09年度後半についても「雨」とし、業績低迷が長引く事態を想定している。
証券業を主体とする上場各社の08年4~12月期決算は、米国会計基準の野村ホールディングス<8604>とネット専業3社を含む上場21社すべてが、営業減益もしくは営業損益段階での赤字に陥った(野村は税前損益ベースで計算)。営業赤字は18社(08年4~9月期では14社)。営業黒字を保ったのは、松井証券<8628>などのネット専業3社のみだった。各社の営業損益を合計すると、なんと赤字額は約6800億円にも上った(うち野村の税前損失が5531億円)。
08年3月に一時1万2000円を割り込んだ日経平均株価は、5~6月上旬にかけて1万4000円台を回復したものの、その後は金融不安が再燃し、株価はじわじわ下落。そして、9月15日に米証券大手リーマン・ブラザーズが破綻したことが決定打となり、金融危機は一段と深まり、昨年10月末には7100円台にまで下落した。
新年に入っても状況は、ほとんど改善していない。1月下旬に就任した米国のオバマ大統領の手腕に期待して、日経平均は一時9000円台を回復する場面もみられた。しかし、米国の自動車大手3社(ビッグスリー)の再建問題をめぐる混乱や、金融危機をきっかけに経営危機に陥っている大手金融機関が、各国政府による公的資金を使った資本注入によって、政府管理下に置かれるケースなどが続出。損失拡大に歯止めがかからず、金融不安は収まっていない。こうした状況に伴い、日経平均は3月半ばに、昨年10月末につけたバブル後最安値水準を更新。世界的にも株安の状況は続いている。