【産業天気図・海運業】どしゃ降り脱するが09年度通じて「雨」

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予想天気
  09年4月~9月   09年10月~10年3月

2008年度後半の海運業は、中国のブラジルからの鉄鉱石輸入停止や、リーマンショック後の自動車輸出急減による荷動きの極端な減少で、バラ積み船のスポット運賃が過去最低水準にまで下落するなどバケツをひっくり返したようなどしゃ降りだった。それに較べれば09年度前半、後半と雨足は弱まっていきそうだが、依然降り止まず、09年度前半は「雨」、後半も「雨」の公算が高い。

フェリー専業や曳船専業の運航会社を除く外航・近海・内航の主な上場海運会社のうち09年1~3月期に営業黒字を確保できそうなのは、川崎近海汽船<9179>、栗林商船<9171>、共栄タンカー<9130>、飯野海運<9119>の4社のみだ。川崎近海汽船、栗林商船は内航や近海が主体なので世界同時不況の影響を比較的受けない。共栄タンカーは長期契約のタンカーがほとんどで、短期的な海運市況の影響を受けにくいために1~3月期も営業黒字を維持できそうだ。

これら4社を除く日本郵船<9101>、商船三井<9104>、川崎汽船<9107>の大手海運3社を筆頭とした海運会社は1~3月期に軒並み営業赤字に転落、日本郵船が124億円の営業赤字、商船三井が93億円の営業赤字、川崎汽船が127億円の営業赤字となる見通しだ。

1月30日の発表時点よりも為替は円安に振れ、バラ積み船のスポット運賃も想定を上回っているので、1~3月の営業赤字幅は縮小する可能性が出てきたが、黒字を確保できるほどではなさそうだ。

09年度前半は自動車船を中心に荷動きが鈍そうだ。バラ積み船は中国とブラジルとの鉄鉱石価格の交渉次第の面があるが、4月~10年3月の次年度価格が3月中に決着する兆しはない。最悪の場合、9月まで暫定価格で取引をし、10月以降に再びブラジルからの鉄鉱石輸入がストップすることとなる。こうした先行きへの不安感からバラ積み船のスポット運賃の伸びが抑えられる可能性がある。

競争が激しく供給過剰状態にあるコンテナ船も相変わらず赤字が続きそうだ。電力用船の多くは09年初の低い水準の市況価格を参考に向こう1年分の運賃を決めているので、利益への貢献は望み薄だ。主要海運会社のうち新和海運<9110>、太平洋海運<9123>、第一中央汽船<9132>、新和内航海運は09年度前半も営業赤字になる可能性があると「東洋経済オンライン」では見ている。黒字の会社も全社減益。前年同期の08年度前半が過去最高水準のスポット運賃をつけていただけに、大幅減益が目立つことになるだろう。

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