【産業天気図・外食】消費低迷で前半は「雨」だが、経費節減で後半は「曇り」。ただ、高級業態は苦戦と価格帯で明暗
09年4月~9月 | 09年10月~10年3月 |
消費低迷のあおりを受けて、外食業界は売り上げ低迷が続いており、2009年度前半の天気は「雨」。しかし、食材価格、光熱費、パート募集・時給低下、家賃低下から09年度後半は「曇り」とやや上向きそうだ。
外食全業態を合わせた既存店ベースの売り上げは昨年11月が前年同月比プラス3・9%だったが、稼ぎ時の12月(同マイナス1・6%)と09年1月(同マイナス1・3%)は2ヶ月連続で前年同期比マイナスとなった。
業態別に見ると高級業態のディナーレストランの落ち込みが大きく、12月は前年同月比9・7%減、1月も8%減少。客数、客単価ともにマイナスが続いており、客単価が回復しつつあるファストフード、居酒屋などに比べて状況は深刻だ。
一方、ファストフードは昨年10月から既存店売上高が前年同月比プラスが続いている。ただ、その実体は日本マクドナルドホールディングス<2702>の一人勝ち。同社は今09年12月期に客数増加で既存店が1%強伸びる見通し。また、新店85が寄与し、全店売上高は2・3%増、直営店のFCへの移行進むため採算が向上し、営業利益も236億円(前期比20・8%増)に達する見込みだ。注目はマクドナルドのメニュー戦略。「チキンならマクドナルドと言われたい」(原田泳幸社長)とシャカシャカチキンやチキンフィレサンドなどに力を入れており日本ケンタッキー・フライド・チキン<9873>の牙城を崩す構えを見せている。また、3月からホットドッグを開始したが、これはドトール・日レスホールディングス<3087>の「ドトール」を意識した動き。他社の得意商品に自社商品をぶつけることで、成長に加速がつきそうだ。
ファミリーレストランは客単価が08年11月と09年に入ってからも前年同期並まで回復する場面があったが、客数の減少が止まらず既存店売り上げはマイナスが続いている。09年を通しても売り上げ拡大は期待できないが、下期以降は経費削減により利益は回復しそう。
一方、居酒屋では昨年8月以降09年1月まで客数減少が続いている。各チェーンでは1点あたりの単価を下げることで、1人当たりの注文点数を増やし、客単価を引き上げる戦略をとるところが多いようだ。この戦略で成功しているのがワタミ<7522>。生ビールの値下げや、メニュー改定に伴う値下げで注文点数を引き上げ、客数が減少しても既存店売り上げを微減に抑えている。
(田宮 寛之)
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