【産業天気図・電子部品】09年度も土砂降り続き、当面虹は見られない。需要鈍化のうえ単価低下止まらず
09年4月~9月 | 09年10月~10年3月 |
ご多分にもれず、電子部品業界も土砂降りの雨が降り続いている。世界的な大不況の影響で、電子部品を搭載する最終製品の需要が急減。製品価格の低下もきつい。この逆風に見舞われた電子部品関連企業の業績は、2008年度後半から09年度にかけて急失速しそう。業界天気は前回08年度後半と09年度前半ともに「雨」だったが、今回も09年度前半と後半ともに「雨」を継続する。
「雨」を継続した理由は大きく3つ。一つ目は、電子部品が搭載される最終製品の販売不振が当面続くと予想されるためだ。携帯電話の国内市場は既に飽和状態で販売台数が低下傾向。薄型テレビの売り上げにも陰りが見え始めている。たとえば、村田製作所<6981>は当初、パソコンと携帯電話の08年度の販売台数は07年度よりも増えると見ていたが、ここにきて一転、前年を下回る見通しに下方修正した。
「雨」を継続した二つ目の理由は、部品点数の多い高機能機種の販売不振である。パソコンは低価格製品「ネットブック」が漸増傾向の一方で、ハイスペック製品の販売の低空飛行が続いており、この影響で部品需要も低下しているのだ。さらに、三つ目は単価下落。韓国や台湾など海外メーカーの台頭に加え、京セラ<6971>や村田製作所、TDK<6762>などの生産設備増強により、競争が一層激化している。京セラによると、代表的な電子部品であるコンデンサーの08年度の単価が前年度よりも25%減少する見通しだという。
最悪とも言える外部環境の下、業界大手の間で今09年3月期業績予想の下方修正が続出。村田製作所やTDK、そしてコンデンサー大手のニチコン<6996>は営業利益ベースで赤字に転落する見通し。京セラも営業利益が、前期実績の1/4に大きくダウンしそうだ。
この傾向は当面不変であろう。悪化している需給バランスに改善の兆しが見えず、製品単価が上向くことも考えにくい。「生産を絞り込んでいるので、来年度は今期並みか、あるいはもう少し厳しくなるのではないか」(村田製作所の藤田能孝副社長)との声もある。来10年3月期に企業業績が急回復する絵は、現時点では描けない。
(梅咲 恵司)
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら