【産業天気図・情報・通信】業績は安定だが、景気悪化の影響が見込まれ「曇り」模様

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  09年4月~9月   09年10月~10年3月

2009年度の通信業界は、営業増益が見込まれる携帯キャリアは「晴れ」。固定通信のガリバー、NTT<9432>は法人需要に厳しさが出て業績は足踏み。他業種に比べると堅調ではあるが、固定・携帯とも景気悪化による価格引き下げ圧力や法人市場の冷え込みも懸念される。業界全体としては一年を通じて「曇り」が続きそうだ。

08年度の携帯電話業界は、端末値上げと割賦販売の浸透、景気悪化で買い替え期間が長期化し、販売台数が2~3割も落ち込んでいる。割賦による価格の安定化と販売台数の急減に伴い、安売りが主体だったり複数キャリア扱う併売店は大苦戦を強いられ店舗閉鎖も相次いだ。一方で、M&Aや保守サービス、ストック収入の拡大で堅調な大手代理店もあり、販売代理店は業界内格差が広がっている。

09年度の販売台数については、回復は見込めないものの第2世代携帯から第3世代携帯への買い替え需要もあるので、08年度のような大きな落ち込みはないだろう。

携帯キャリアをみるとNTTドコモ<9437>は販促費削減効果が一巡するため小幅増益どまり、KDDI<9433>はドコモより遅く導入した割賦販売によりまだ販促費削減効果が続く。いち早く割賦販売を導入したソフトバンク<9984>は、割賦あけのユーザーが増えると同時に特別値引き負担が軽くなることもあり、大幅増益を見込む。

一方、ADSLのイー・アクセス<9427>は持分適用のイー・モバイルで通信データカードを軸とするモバイルブロードバンドサービスを展開しているが、順調に加入者を増やしていることから持分損失が大幅に改善。KDDIも持分適用のUQコミュニケーションズで次世代高速無線サービスを開始する。09年度はデータ通信サービスに注目が集まりそうだ。

総合通信最大手のNTTの営業利益は08年度の日本一となったもようだが、設備投資負担も重く取り巻く環境は明るいものではない。注力している家庭向け光ファイバー通信サービス、FTTHの加入者数は08年度末1127万を見込み、09年度は08年度と同様の250万の純増を計画している。計画としては妥当といえるが、大目標である10年度2000万の加入者獲得は達成困難になり、計画見直し必至となっている。

(高橋 志津子)

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