【産業天気図・建設機械】足元は事実上のライン停止状態。秋前には生産調整終了だが、需要回復は年度超え濃厚で「雨」続く
09年4月~9月 | 09年10月~10年3月 |
世界同時景気後退により日米欧3極で大打撃を受けた建設機械だが、成長期待を持続していた中国など新興国市場にまで需要減退が広がった。かつてない大生産調整を断行中の09年度前半は土砂降りの「雨」、09年度後半には生産調整が終了するが需要の回復は見えず「雨」が続く。需要底打ちの確認は10年度に持ち越されるだろう。
中国市場でシェア2割前後を握るコマツ<6301>は昨年11月中間決算(08年4~9月期)時点、欧米の需要を3割以上減少すると見込む一方で、中国は通年で10%伸びると予測。ところが、その中国市場が秋口から落ちこみはじめ、12月の販売は実に対前年比5割減となった。沿海部経済への世界金融危機の波及と、10月まで続いた金融引き締めで各地の工事が軒並みストップしたためだ。
中国で同じく2割シェアを持つ2強の日立建機<6305>をはじめ、建機各社の事情は同じである。日米欧の壊滅を理由に昨年11月に下方修正したが、3カ月と経たずに再度の下方修正に追い込まれ、09年1月末には非正規雇用の契約解除、工場休止による大減産を次々と発表した。たとえばコマツの主力工場である粟津工場は3月現在、稼動がたった5日と事実上の生産停止状態にある。
ただ、各社の生産調整がきわめて大規模なものなので、在庫圧縮が急速に進んでいる。日立建機では08年末に11万台の在庫があったが、これを09年6月末までの半年で5700台まで半減するとしている。同時に、昨年高騰した鉄などの原材料費の引き下げ交渉も進み、固定費削減努力と相まって、年度後半には経営体質がかなり改善するだろう。
しかし、肝心の需要が回復してこない。昨年後半に急ブレーキがかかったとはいえ、やはり期待は中国市場だが、公共工事関連の需要は動き出したものの、住宅やオフィスなど民間の建設需要は冷え切ったまま。中国建機市場の本当の底が確認されるのは年度後半だろうというのが業界の一般的な見方である。米国や欧州の建機市場が動き始めるのは、さらにその先だ。09年度前半は多くの建機メーカーが営業赤字に転落、工場の生産が正常復帰する09年度後半も大幅な改善は望めない。
(山崎 豪敏)
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