【産業天気図・化学】石油化学、電子材料ともに数量停滞で09年度前半は「雨」、後半は「曇り」。事業構造見直し迫られる年に

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予想天気
  09年4月~9月   09年10月~10年3月

化学業界は2009年度も前半まで「雨」が続く見込みだ。08年度下期以降、二大需要家である電気、自動車業界が大苦戦を強いられている中で、供給元の化学各社も業績低迷が続く。原燃料価格の沈静化は好材料だが、今下期から続く数量の底ばい状態が、化学メーカーを悩ますことになるだろう。

近年日本の化学業界は、利益構成のうち非石油化学事業の割合を増やしてきた。それは、「石油化学事業は、バルク(ばら積み)ゆえにシクリカル(循環的)」(4月1日から住友化学新社長となる廣瀬博代表取締役副社長執行役員)という背景があったから。非石油化学事業のうち、各社が特に注力してきたのが電子材料だ。代表されるのは信越化学工業<4063>とSUMCO<3436>の半導体ウエハや、日東電工<6988>と住友化学<4005>の偏光フィルムなど。これら企業のように世界シェアで過半を占める電子材料を持つことが、日本の化学業界にとっての強みとなってきた。ひいては日本のエレクトロニクス産業を根幹から支えても来た。ただ、今下期から来期一杯にかけては、供給先の電気業界が総崩れとなり、期待の電子材料も引き続き厳しい業績を強いられるだろう。

期初には14期連続の最高益を狙っていた信越化学工業は、半導体市場の大不況を受け、ついに連続最高益は13期でストップする見込みだ。「ウエハは春先伸びる季節性を持つが、今のところ一向に回復の兆しがない。価格も弱含んでいる」(中村健取締役)。来期も厳しい状況が続くだろう。1月決算のSUMCOは、10年1月期第2四半期業績予想を、営業利益段階で前年同期比1053億円と大幅減少の580億円の赤字で見ている。通期の業績予想は、「デバイスメーカー側の数量回復時期が全く読めない」(重松健二郎取締役社長)として、非開示にした。

昭和電工<4004>の今09年12期も減益計画。同社はノートPC向けハードディスクメディアでは出荷枚数ベースで36.3%のシェアを持つが、同製品を含む電子・情報セグメントの今期営業損益は、数量減と円高の影響でゼロと予想。「需要が戻ってきたとしても、前期比で3分の2水準まで来れば十分。それを見越して社内には指示を出している」(高橋恭平代表取締役社長)という。住友化学は300億円規模の偏光フィルムの追加投資を、来期一杯は凍結することに決めた。

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